2006年5月7日(日)「しんぶん赤旗」
ガス国有化
ボリビア決定を容認
南米4カ国首脳が一致
【メキシコ市=松島良尚】アルゼンチン北部のプエルトイグアスで四日、同国とブラジル、ベネズエラ、ボリビアの大統領が会談し、ボリビア政府が一日に発表した天然ガス資源を国有化する決定を三カ国が受け入れることで合意しました。
首脳会談は、ボリビアのガス国有化宣言後、ベネズエラとキューバがいち早く支持を表明したのに対し、ボリビアで操業している多国籍企業や関係国の間で緊張が高まっているのを受け、四カ国の大統領が連絡をとりあって急きょ行われました。
会談後の記者会見で、アルゼンチンのキルチネル大統領は、ボリビア政府の決定について「われわれは、主権に即した各国の決定を尊重し、歓迎する」と発言。ブラジルのルラ大統領も同様の趣旨を述べました。
ブラジルは国内で消費する天然ガスの約半分を市場価格の五割以下でボリビアから輸入しています。ガスの値上げや国有化を懸念し、ボリビアで操業しているブラジルの国営石油企業ペトロブラスは新規投資の凍結を表明していました。
四カ国が発表した共同声明は、エネルギー統合が地域統合の本質的要素であることを強調し、天然ガスの安定的供給を保証する重要性を確認。また、合理的なガス価格について関係二国間で協議していくと述べています。
さらに共同声明は、南米南部共同体(メルコスル)の強化と南米統合への結束、とくにベネズエラとアルゼンチンを結ぶガスパイプライン建設事業の意義を改めて確認しました。この事業にボリビアも参加するよう、今回の会談で初めて公式に同国に提案されたと報じられています。
南米の最貧国であるボリビアの全面的な発展のために三カ国が共同で投資していくことも共同声明で確認されました。