2006年5月4日(木)「しんぶん赤旗」
きょうからアテネで欧州社会フォーラム
新自由主義と戦争に反対
【パリ=浅田信幸】市場万能の新自由主義的な経済のグローバル(地球規模)化や戦争に反対し、「もう一つの欧州を」の課題を掲げる欧州社会フォーラムが四日、ギリシャの首都アテネで開幕します。二〇〇一年にポルトアレグレ(ブラジル)で始まった世界社会フォーラムの欧州版として、〇二年のフィレンツェ(伊)、〇三年パリ(仏)、〇四年ロンドン(英)と引き継がれ、今年は第四回になります。
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テーマにあげられているのは「新自由主義的なグローバル化、戦争、労働(市場)の規制緩和、貧困、気候変動、環境破壊、民主的諸権利の侵害、性差別、人種差別、極右の脅威」(同フォーラムのホームページから)と盛りだくさん。
七日までの四日間、欧州の二十を超える各国から非政府組織(NGO)、労働組合、左翼政党の代表ら一万五千人が集まります。
二百を超える分科会での討論と交流を通じ、これらの問題の対案を探ります。六日にはイラクの戦争・占領反対をテーマにアテネで平和デモも予定されています。
今年、注目を集めそうなのは、若者の解雇を自由にできる雇用策「初採用契約(CPE)」を撤回させたフランスの労働・学生運動と、イタリアの右派連合ベルルスコーニ政権を敗北させたイタリアの総選挙。新自由主義の具体的な現れに対するたたかいに多様な教訓を与えるものとして、活発な論議を促すものとみられます。
これまでフォーラムは、その形式のため特別な決議などは採択していませんが、グローバル化と戦争に反対するという太い柱のまわりに、一定の意思を統一し、運動を欧州各国に広げるうえで無視できない影響力を発揮してきました。
フィレンツェのフォーラムはイラク戦争反対ののろしとなり、翌〇三年三月の開戦直前の同年二月の全世界的な反戦デモに結実しました。ロンドンのフォーラムでは、長時間労働や低賃金をもたらす「社会的ダンピング」を内包する欧州連合(EU)のサービス自由化(ボルケスタイン指令案)の危険性を欧州各国の労組や社会活動家に認識させ、今年二月の大幅修正を勝ち取る運動の発展を促しました。