2006年4月28日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪

今国会成立へ 文教族総がかり


 自民、公明両党が教育基本法改悪案を了承したのを受け、政府は二十八日の閣議で同案を決定し、国会に提出しようとしています。与党は六月十八日までの会期内成立に向けた動きを強めています。


●特別委狙う

 「大型連休明けには、国民の前で深い議論を展開することになる。衆院では特別委員会を設置し審議を行いたい」。公明党の東順治国対委員長は二十五日の代議士会でこう述べました。毎日でも審議できる特別委員会という舞台を連休明けにも設置し、五月の半ばから実質審議に入るというのが、与党の描く当面の日程です。

 自民党は特別委員会の委員長に、森山真弓元文相をすえる方針。教育勅語の“復活”を主張し、教育基本法の改悪を主導してきた森喜朗前首相が委員に名乗りをあげるなど、自民党の文教族が総がかりで、今国会成立に執念を見せています。

 改悪案づくりをすすめてきた「与党・教育基本法改正に関する検討会」のメンバーの一人は、「検討会では三年間、一言一句濃密な議論をしてきた。もう決着させなければ」と、早期成立を当然視します。

●密室で議論

 しかし、検討会はマスコミにも一切非公開。議案書は毎回すべて回収し、検討会メンバーすら「あとで自分で勉強しようにもできない」とぼやくほど、徹底した情報管理と“密室”審議が行われました。「一つひとつ議論の中身が外に出て行くと、ハチの巣をつついたような騒ぎになって望ましくない」(馳浩文科副大臣)からだというのがその理由です。教育という国民的課題にかかわる重要法案を、一部の政治家と役人でつくりあげることにはまったく道理がなく、国民の批判を浴びるのは必至です。前出の検討会メンバーも「今後、国会で活発な議論をすればよい」と弁明せざるをえませんでした。

 議論のカヤの外に置かれてきたのは、与党議員も同じです。改憲右派団体の日本会議と連携する国会議員らの中には、「公明党に妥協しすぎだ」などの不満の声が依然くすぶっています。

 しかし、森前首相は「教育基本法をしっかりやってこそ小泉改革は立派に成功したとなる」(二十二日)と述べるなど今国会での成立を再三強調し、党内の不満をなだめにかかっています。

 教育基本法の改悪は「自民党結党以来の悲願」(安倍晋三官房長官、二十五日)。「この機会を逸すると、基本法改正は二度とできない」(二十日、町村信孝元文科相)という政治判断が働いています。(坂井 希)


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