2006年4月27日(木)「しんぶん赤旗」
パレスチナ問題
ノルウェーが独自外交強化
来月ハマス代表と事務レベル協議
【ロンドン=岡崎衆史】一九九三年のオスロ合意などで中東和平の仲介役を果たしてきたノルウェーが、武装抵抗組織「イスラム抵抗運動(ハマス)」主導の自治政府成立をめぐって紛糾するパレスチナ情勢の打開に向けて外交努力を強めています。
同政府は、イスラエル承認やテロ放棄をハマス側に求めるとともに、イスラエルに対しても、パレスチナでの分離壁建設やユダヤ人のパレスチナ入植活動、暴力の停止を要求しています。また、パレスチナ自治区を占領しているイスラエルには、占領者としての特別の責任を果たすよう求めるなど、同国に甘い米国とは一線を画しています。
ノルウェー政府はとりわけ、外交解決のための交渉窓口づくりを重視。来月十五日にはハマスの代表と事務レベルで接触する予定です。米国はハマスとの協議を阻止しようと圧力をかけましたが、ノルウェー側はこれを拒否しました。
ノルウェーのストーレ外相は二十四日、ノルウェー国営放送で、「将来は政治的レベルも排除しない」と述べ、事務レベル協議の進展によっては、ハマス側との政治レベルの会談もありうるとの見解を示しました。
ノルウェー政府は九日、米国や欧州連合(EU)に続いてパレスチナ自治政府への援助の凍結を発表しましたが、一方で、ハマスのノルウェー訪問など、独自外交による事態打開を模索してきました。
同国のアフテンポステン紙二十四日付(電子版)によれば、ストーレ外相は、「紛争の一方の当事者と関係をもたないのは賢明ではない。要求すべき事柄は、新聞ではない場所で表明すべきだ」と述べ、イスラエル承認などの方針転換をハマスに求めるためにも交渉が重要との見解を示しました。
また同相が、「ノルウェーと外務省は幅広い接触をし、さまざまな組織や運動体と話し合いをする長い伝統がある」と述べたと報じています。