2006年4月27日(木)「しんぶん赤旗」
ベトナム共産党大会
「めざす社会主義像」論議
十八日から二十五日までハノイで開かれたベトナム共産党第十回大会では、ドイモイ(刷新)二十年間の「市場経済を通じて社会主義へ」の路線や、だれもが自由に発言できる民主化などについて活発に論議が行われました。新指導部は山積する課題に挑戦します。(ハノイ=鈴木勝比古)
![]() (写真)大会決議を採択する代議員=25 日、ハノイ(鈴木勝比古撮影) |
市場経済
「弱肉強食」ではなく
「市場経済は人類文明の産物であり、資本主義に固有のものではありません。私たちは『弱肉強食』の市場経済ではなく、貧富の格差の少ない、だれもが経済発展の成果を享受できる市場経済をめざします」―ベトナム共産党紙ニャンザンのドゥク・ルオン副編集長が大会について記者に語りました。
大会前の議論で「ベトナムがどういう社会主義をめざすかが不透明で、国民に説明しにくい」との意見が新聞に紹介されました。マイン書記長は十八日の中央委員会報告で、ベトナムがめざすのは「民が豊かで、国が強く、公平、民主、文明的な社会である」と語りました。ベトナムがめざす社会主義の内容として述べられたのは初めてです。
大会の政治報告は、「国家経済、集団経済、私人経済(個人経営、私人資本経営)、国家資本主義経済、外資経済」をベトナムの現在の経済制度の「重要な構成部分」と規定しました。国家経済は単に「国営企業」をさすのではなく、エネルギー、輸送、天然資源などの管理を含んでいます。私人は法人、公人と区別する概念です。
マイン書記長は二十五日の記者会見で「国家経済を主導とし、すべての経営形態が補い合い、総合的な力をつくりだす」と説明しました。
ベトナム共産党中央対外委員会のグエン・ビン・クアン局長は「社会主義をめざす市場経済では、日本共産党の理論的解明に示唆を受けました」と語りました。
民主化
広く国民の意見募る
ベトナム共産党大会に対する党員、国民の意見は数万件に達しました。前回の大会でも事前に国民に政治報告草案が公表されましたが、広く国民の意見を募り、紙上に発表し、討論したのは初めてです。
意見の四大テーマは多い順に「党建設」「汚職」「民主化」「教育」でした。
大会直前にはベトナム人民軍の最高位の将軍であるボー・グエン・ザップ氏らが、汚職問題を避けず、大胆に討論するよう求める意見を発表しました。
「憲法上での党の指導権」も議論の対象となりました。この問題は、ホーチミン市青年同盟紙のトゥオイチェ、「法律」紙、人民軍紙クアンドイ・ニャンザンなどに掲載されました。
海外在住党組織の代議員は「東欧諸国の政権崩壊は外部の力によるものではなく、内部の官僚主義、腐敗によるものだった」と発言。国営テレビがこの発言を紹介しました。
今後の課題
党健全化と汚職追放
党大会は、書記長選出に大会代議員の声を反映させるための初めての試みとして参考投票を行いました。マイン書記長が千百七十六人代議員のうち、九百人近くの支持を得ました。この結果を受けて第一回中央委員会では、満場一致でマイン書記長が再選されました。
新中央委員会百六十人は約半数が新人です。
ベトナム共産党の新指導部は、早期の経済の立ち遅れ克服、世界貿易機関(WTO)への加盟に向けての市場経済機構の整備、党の強化・健全化、汚職追放などの課題に取り組む方針です。とくに汚職追放は、党に対する国民の信頼回復のために避けられない課題です。
二十六日付ベトナム各紙は「誇りと責任」(ニャンザン社説)、「ドイモイ、さらにドイモイを」(クアンドイ・ニャンザン社説)、「全面的なドイモイ、急速な発展」(トゥオイチェ)などの見出しで党大会の閉会を報じました。
ニャンザン社説は「わが国の姿は威信でも力でもドイモイの二十年間でさらに強固になった。今後の道のりには試練や困難が横たわるが、ベトナム革命の事業は質的に新たな発展の軌道に乗った」と述べています。


