2006年4月26日(水)「しんぶん赤旗」
ネパール
七政党が勝利集会
国王、下院復活を表明
【ニューデリー=豊田栄光】議会を解散し直接統治で独裁政治を続けてきたネパールのギャネンドラ国王は二十四日深夜、国営テレビで演説し、「主権はネパール国民にあることを確認する」として、二十八日に「下院を復活させる」と表明しました。民主化を要求し抗議行動を続けてきた主要七政党はこれを受け入れ、新首相に最大政党ネパール会議派のコイララ党首(元首相)を指名することで一致。七党はまた、ゼネストやデモなどの抗議行動を収束させることを明らかにし、首都カトマンズで二十五日予定していた抗議行動を「勝利集会」に切り替え、数十万人が街頭に繰り出しました。
カトマンズからの報道によると、ネパール会議派のパウデル書記長は二十五日、「制憲議会選挙が復活国会の主要議題になる」と語り、焦点が新憲法制定に移ったとの認識を示しました。
現在の憲法は一九九〇年に制定されました。国民主権、複数政党制が保障されている半面、国王が自らの判断で非常事態を宣言、憲法の人権条項を停止できるなど国王権限が強い内容です。
七政党は、下院を復活させ、政党内閣を樹立し、その後、毛沢東派との対話を進め、制憲議会選挙を実施し、新憲法を制定するという民主化のロードマップ(行程表)を確認しています。
国王は二十一日、新首相を推薦するよう政党に要請しましたが、七政党は拒否しました。今回の下院復活は、行程表の第一段階と位置づけられることから、七政党は受け入れました。
王制に反対し武装闘争を続ける毛派は二十五日、「国王の声明はごまかしであり、反国民的な陰謀である。われわれは断固拒否する」との声明を発表、下院復活を経ずに制憲議会選挙を実施することを要求しました。毛派は制憲議会選が実施されれば、武器を置き、選挙に参加すると表明していました。
七政党は国王権限を弱める新憲法制定では一致していますが、緩やかな立憲君主制から完全な共和制を主張する政党まで存在し、それぞれの立場はさまざまです。
ネパール国王の政治介入 二〇〇二年、ギャネンドラ国王は政党の内紛を理由に下院を解散させ、同年十月、憲法に規定がないにもかかわらず、独断で首相を解任、新首相を任命し、政治への介入を強めました。昨年二月には、政党内閣自体を解散させ、非常事態を宣言し、国王による直接統治を始めました。

