2006年4月24日(月)「しんぶん赤旗」

物理学者、米大統領に書簡

ノーベル賞受賞者ら13人

対イラン核攻撃反対


 【ワシントン=山崎伸治】ノーベル物理学賞受賞者五人を含む米国の著名な物理学者十三人がこのほど、ブッシュ米大統領あてに連名で書簡を送り、「米国と世界にとって重大な影響をもたらす」として、イランに対して核攻撃をしないよう求めました。二十六日にホワイトハウスを訪ね、書簡を直接手渡すことにしています。


 十七日付のこの書簡はカリフォルニア大学サンディエゴ校のホルヘ・ハーシュ教授が呼びかけました。フィリップ・アンダーソン、デービッド・グロス、アンソニー・レゲット、ダグラス・オシェロフ、フランク・ウィルチェックの五人のノーベル物理学賞受賞者のほか、三人の元米国物理学協会会長が名を連ねています。

 ハーシュ教授は二十二日、本紙の電話インタビューに対し、「この書簡を送った翌日にブッシュ大統領は『すべての選択肢を検討している』と言いました。イランに対する核使用は破滅をもたらします。選択肢であってはなりません」と強調しました。

 書簡は、「核兵器を持たない敵国に対して先制的に核兵器を使用することも、単に使うと威嚇することも、核不拡散条約(NPT)加盟の非核兵器国にとっては、条約を順守しても核兵器国による核攻撃から守られないことを意味する」と指摘。核不拡散体制をいっそう危機に追いやると警告しています。

 書簡は、「米国が再び核兵器を使用するなら、他の国も使用する可能性は高くなる。

核兵器国がさらに増え、核兵器使用がもはや『タブー』でないような世界では、地域紛争が全地球規模の核戦争へと拡大する危険は強まり、人類の文明を破壊しかねない」と懸念を表明しています。「米国は、現在も将来も核兵器を持たない敵国に対して核兵器という選択肢を検討しないことを公言する」ようブッシュ大統領に要求しています。

 二〇〇二年の核態勢見直し報告や、昨年明らかになった「統合核作戦ドクトリン」最終草案(今年になり公開文書の策定を断念)など、ブッシュ政権が非核保有国に対する核兵器の先制使用など核戦略の見直しに着手したことに対して、ハーシュ教授は昨年九月に懸念を表明。それに反対する署名を呼びかけてきました。

 これまでに千九百人を超える研究者がこたえています。


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