2006年4月5日(水)「しんぶん赤旗」
国民財産たたき売り
年金機構 福祉施設など9物件
09年度までに残りも処分
年金や健康保険の保険料を原資に全国各地に整備された「年金福祉施設」など九物件が、二〇〇五年度下半期に売却されていたことが四日までにわかりました。昨年十月に発足した独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(理事長=水島藤一郎前三井住友銀行顧問)が発表したもの。同機構は、〇九年度までに厚生年金病院を含む三百十三施設など四百八十物件をすべて売却しようとしており、国民の貴重な財産が短期間にたたき売りされる危険性があります。
同機構によると、〇五年度は発足初年度だったため、社会保険庁時代にすでに閉鎖ずみとなった施設と、福祉施設を建設するために購入済みの土地を中心に譲渡・売却を行いました。
昨年十二月十三日からことし三月二十三日にかけて、二十物件の入札を実施した結果、弘前社会保険健康センター(青森県弘前市)、健康保養センター「ときわ路」(茨城県常陸太田市)、老人ホーム「ハートピア日南杉の湯」(宮崎県北郷町)など四施設、福島県飯坂町などの土地四件など九物件が落札されました。(表参照)
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東京・錦糸町の土地(約千六百八十平方メートル)は大手デベロッパー、長谷工コーポレーションが二十八億円で落札、店舗付き中高層マンションを計画しているのをはじめ、ビジネスホテル、戸建て・マンション分譲など、企業のもうけの対象にされようとしています。
同機構は、「官業から民業への橋渡し」というコンセプト(発想)で、〇六年度は老人ホーム十一、健康保養センター十八、保険福祉センター(ヘルシーパル)五など七十二施設八十四物件の売却をすすめる計画です。
また、〇七年度、〇八年度に各九十施設百四十七物件など、〇九年度までに三百十三施設、四百八十物件をすべて売却する方針です。
このなかには、リハビリテーション医療など、地域医療に欠かせない存在となっている大分県湯布院など全国十の厚生年金病院も含まれており、各地で売却反対の運動も広がっています。
年金・健康保険福祉施設整理機構 昨年六月、成立した年金・健康保険福祉施設整理機構法にもとづいて設置された独立行政法人。
同法は、社会保険庁による年金保険料の流用や巨大施設への年金積立金投入などへの国民の批判が高まるなか、自民、公明両党が問題の原因究明をすることもなく、全国の年金福祉施設を五年間で廃止・売却するために成立を図りました。
日本共産党は、廃止・売却の対象施設の累積黒字が約五百五十億円にたいし、設立される独立行政法人の経費が五年間で三百億円かかることも示し、「これこそ無駄遣いそのもの」と反対しました。