2006年4月3日(月)「しんぶん赤旗」

イラク・ジャファリ首相候補

与党からも降板要求

正式政府の樹立混迷


 【カイロ=小泉大介】正式政府樹立協議が停滞するイラクで一日、次期首相候補であるジャファリ移行政府首相に対し、与党のイスラム教シーア派政党連合「統一イラク同盟」内から初めて公然と異論が表明されました。「同盟」内の主導権争いが再燃し、治安悪化に拍車をかけることが懸念されています。


 「統一イラク同盟」は昨年十二月十五日の国民議会選挙で最大会派となりました。ダアワ党出身のジャファリ氏は、首相候補を決める二月十二日の「同盟」内部の投票で、対立候補であるイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)のアブデルマハディ移行政府副大統領と一票差で選出されました。

 「同盟」の独立系グループ指導者、カシム・ダウド氏は一日、ロイター通信に、「首相候補から降りる勇気ある行動を取るようジャファリ氏に要求した」「『同盟』内にはジャファリ氏に同様の行動を求める幅広い流れがある」と語りました。

 「同盟」内で最大の政治組織であるSCIRIの指導者ハキム師も同様の要請をしたと報じられています。他の幹部は、「同盟」内の七主要組織のうち四組織がジャファリ氏降板を要求していると指摘しました。

 ジャファリ氏に対しては、イスラム教スンニ派、クルド人、世俗派の各政治勢力が首相候補辞退を要求してきました。治安対策の失敗など移行政府首相としての指導力欠如を理由にしたこの要求をジャファリ氏は拒否。「挙国一致政府」樹立に向けた連立協議が停滞する要因の一つとなってきました。

 ダアワ党幹部のマリキ氏は一日、「同盟」内からの首相降板要求を拒否。汎アラブ紙アルハヤト一日付によれば、「同盟」内投票でジャファリ氏を支持したシーア派有力指導者サドル師のグループもその立場を変えておらず、内部対立は当分続く可能性があります。同紙によればマリキ氏は、混乱の背景に米政権による「首相選出と政府樹立への干渉」があると警告しています。

 イラクでは宗派間対立がますます激化。国際移住機関(IOM、本部ジュネーブ)は三月三十一日、宗派間衝突が最も激しい首都バグダッドを中心に、この数週間で三万から三万六千人のイラク人が住居を離れざるを得なくなったことを明らかにし、これらの人々への援助が死活的になっていると訴えました。


統一イラク同盟(UIA)

 イスラム教シーア派の宗派政党を中心として、二十近い党から構成される統一会派。主な政党には▽旧フセイン政権時代はイラン・テヘランに本拠を置いていたイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)▽穏健なイスラム国家を目指すダアワ党―があります。昨年末の国民議会選挙では百二十八議席(総議席数二百七十五)を獲得しました。


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