2006年4月3日(月)「しんぶん赤旗」
韓国 女性差別防止を強化
「儒教文化が障害」の声も
|
韓国の第一野党・ハンナラ党の国会議員約百人が「男女平等、セクシャルハラスメント防止」の特別講義を受けました。三月三十日、地方の農村で開かれた党議員研修会で教壇に立ったのは、セクハラ防止対策を推進する女性家族省の金在仁・男女平等教育振興院長。「セクハラ防止は男女平等の社会、人権がいっそう尊重される社会を目指す努力」だと議員に訴えました。
野党議員の醜態
ハンナラ党が研修会のテーマにセクハラ問題を取り上げたのには差し迫った理由があります。同党の崔鉛熙議員が二月二十四日、記者団との夕食会で酒に酔い、東亜日報の女性記者に後ろから抱きつき胸をさわるという事件を起こしました。
崔議員は議員団事務総長を辞任することで騒ぎを収めようとします。これに対し、被害者と東亜日報の同僚記者百二十二人は崔議員を強制わいせつ罪の容疑で検察に告訴しました。与野党の女性議員は共同で議員辞職勧告決議案を提出する準備中です。世論の七割は議員辞職を求めていますが、崔議員は拒否しています。
国家人権委員会の趙永晃委員長は三月三十日の講演で、「いくら高等教育を受けても、地位が高くても、性の問題については理解できないようだ。社会が変化したのに、昔ながらの考えでいるから、あのような恥をさらすことになる」と崔議員を批判しました。
平等教育は義務
韓国憲法は「婚姻と家族生活は個人の尊厳と両性の平等を基礎として成立し維持されなければならず、国家はこれを保障する」としています。一九九五年に女性発展基本法が制定され、二〇〇一年に女性省が新設されました(〇五年に女性家族省に改編)。しかし、現実には男尊女卑の文化が根強く残っているのが現状です。
昨年十二月、女性発展基本法が改定されました。男女平等教育振興院の機能を強化するとともに、政府や地方自治体、学校などが年一回以上、セクハラ防止をはじめとする男女平等教育を行うよう義務付けています。
就職関連のポータルサイトを運営する「スカウト」の調査によると、職場に通勤する人のうち32・3%が「セクハラやわいせつ行為をされたことがある」と回答。その内容は、体の接触(38・2%)、わいせつな冗談(32・7%)、身体的な特徴を卑下する発言(17・2%)の順で、加害者の73・2%は上司でした。
国家人権委員会の性差別チーム調査官は京郷新聞のインタビューに「韓国社会の女性差別助長は、家庭で『学習』されている」と指摘。伝統とされる儒教文化の影響だとして次のように問題を投げかけています。
「家庭で教え込まれた男女の役割は、学校や社会に持ち込まれる。職場での昇進や人事異動でみられる女性差別もそこから生まれる。家族一人ひとり、親が考えと発想を変えることが必要だ」
(面川誠)