2006年3月31日(金)「しんぶん赤旗」
大学めざす青年支援
19―25歳 教育費無料に
英国
【ロンドン=岡崎衆史】ケリー英教育・技能相は二十七日、中等学校(日本の中学・高校に相当)卒業後、大学に行っていない青年を対象にした継続教育について白書を発表し、十九歳から二十五歳までの青年に大学入学に必要な水準に達するための教育を無料で提供することを明らかにしました。
英国の大学に入学するためには統一試験に合格する必要があり、今回の継続教育支援は、そのための無料の教育の機会を二十五歳までの青年に与えるものです。
大学入学後は一般の学生同様、授業料が有料です。大学によっては年間最大三千ポンド(約六十一万円)まで課すことができます。
白書によると、今回の措置は二〇〇七年中に開始され、そのための予算として二千五百万ポンド(約五十一億円)が充てられます。該当者は約四万五千人にのぼると政府はみています。
また、該当する青年のうち低所得者には生活補助を行うため奨学金を設立し、千百万ポンド(約二十二億円)を割り当てることも盛り込まれました。
白書は、専門家派遣の体制を強化することなどで、継続教育学校の教育水準を向上させることも約束。ケリー教育相は、「若者や成人の技能を高めることはわが国が直面する戦略的な課題の一つだ」と述べ、青年の教育や職業訓練支援の重要性を強調しました。
英産業連盟(CBI)のジョーンズ会長は、「継続的な技能向上と再教育は二十一世紀の競争力のある経済の保証となる」と歓迎。労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は、「白書は、技術の向上や訓練で向上を目指す被雇用者に歓迎される支援だ」と述べました。
一方、英国の継続教育学校の団体、「カレッジ協会」は、白書を「価値ある数歩」と評価しつつも、不十分だとし、職業訓練への投資を雇用者にほぼ倍増させるための措置を政府が取るよう求めました。