2006年3月25日(土)「しんぶん赤旗」
アルゼンチン
水道再び国営化
大統領 利益優先を批判
【ベロオリゾンテ(ブラジル)=松島良尚】アルゼンチン政府は二十一日、一九九三年に民間企業に譲った水道事業の権利を取り消すと発表しました。民営化した事業の再国営化です。
同国のキルチネル大統領は、「水が国民の手に戻った。再び社会の財産になった」と強調しました。
権利を取り消されたのは、ブエノスアイレス州で事業を展開していた「アグアス・アルヘンティーナ社」。仏系多国籍企業、スエズ社の子会社です。
取り消しの理由は、長期間問題となっていた水質汚染でした。
アルゼンチン政府は「アグアス・アルヘンティーナ社」が安全な水を供給するという契約に違反しているとしました。キルチネル大統領は、同社が巨額の利益をあげているにもかかわらず、「サービスでは最悪だった」と指摘しました。公営の水道衛生企業がすでに立ち上げられています。
スエズ社は、アルゼンチン政府の決定を不服とし、国際的な司法の場で争う構えです。
キルチネル政権が、いったん民営化した事業を国営に戻すのは今回が初めてではありません。二〇〇三年には、郵便事業が再国営化されています。値上げやサービスの悪化に加え、営業権利料を政府に支払わない契約不履行のためでした。
アルゼンチン国民の圧倒的多数が国営化された事業の存続を願っています。