2006年3月22日(水)「しんぶん赤旗」

政府削減方針

交付税ゼロ、自前財源が頼り

新たに90自治体

住民サービス低下も


吉川議員示す

 政府の地方交付税の「削減」方針により、地方交付税を受け取れなくなる市町村が新たに九十団体見込まれることがわかりました。日本共産党の吉川春子参院議員が国会で明らかにしました。

 政府は地方交付税を配分しない不交付団体の市町村を二〇一〇年代初めまでに人口比三分の一まで増やす目標を掲げています。現在の不交付団体は百四十七市町村、人口比18・4%です。人口比33%まで増やした場合、現在の財政力をもとにした試算によれば、新たに九十団体が不交付団体になります。

 国税の一定割合を地方に配分する地方交付税は、地方自治体の財政力格差を調整することによって財源の不均衡を是正し、どの地域でも一定の行政サービスを提供できるように財源を保障する地方固有の財源です。もともと個々の市町村が不交付団体になるのは、必要な行政サービスをまかなうための税収を自力で確保できる場合です。初めから不交付団体の増加を目標に掲げるのは、自治体のサービス維持よりも地方交付税の削減を優先させる発想です。

 竹中平蔵総務相はこれだけ不交付団体を増やすためには「さらに三兆円を超える税源移譲と歳出削減が必要になってくる」と述べました。「三位一体改革」でおこなった税源移譲が三兆円です。その三兆円も反対の強かった義務教育費国庫負担の削減などを盛り込んでやっとかき集めた数字であり、それと同程度の「改革」が必要となれば、いっそう福祉・教育関係が標的にされる危険性があります。

 七日の経済財政諮問会議では民間議員から「(団体比で)不交付団体50%をめざす」という提案がおこなわれました。人口比にすれば90%近くになる計算です。さすがに竹中総務相もその場で「ちょっと想像がつかない。人口比で50%でも十兆円規模の税源移譲がいる」とためらいました。

 国の財政再建のために地方財政を犠牲にすることは許されません。「地方交付税削減ありき」で次々エスカレートする議論に警戒が必要です。


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