2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

伊藤元長官を刑事告発

政治団体元幹部 「報告書に献金不記載」


 自民党の伊藤公介元国土庁長官の政治団体に寄付された多額の政治資金が、政治資金収支報告書に記載されずに裏金処理された疑惑(本紙二月二十二日付既報)で十日、資金提供した政治団体元幹部が政治資金規正法違反の疑いで同元長官を東京地検に刑事告発しました。

 告発したのは、伊藤氏を支援する目的で結成された政治団体「西多摩夏冬会」の元会計責任者で、伊藤氏の私設秘書を二十年間務めた上田政晴氏(58)。

 告発状などによると、伊藤氏の資金管理団体「東京公友会」と同氏が代表を務める「自民党東京都第二十三選挙区支部」は、二〇〇一―〇二年、「西多摩夏冬会」から合計で四百二十一万円の献金を受けながら、伊藤氏は政治資金収支報告書に記載させず、虚偽の報告をさせたといいます。政治資金規正法では、虚偽記載した場合、五年以下の禁固または百万円以下の罰金が科されます。

 上田氏は、夏冬会が九七―〇二年に献金した合計千七百六十四万円分についても、伊藤氏側が発行した領収書の写しを告発状に添付。「それらすべてが報告書に記載されずに裏金処理された」と主張しています。今回は公訴時効にかからないものに限り告発の対象としました。

 伊藤氏側は本紙などの指摘をうけ、〇二年分の百四十六万円については「事務的なミス」として収支報告書を訂正したものの、二月二十三日の衆院政治倫理審査会では、裏金処理を否定。「資料もなく、調査中」などと述べました。上田氏は、「私は議員会館で毎回、伊藤氏に金を手渡しした。政倫審で『自分は受け取っていない』という伊藤氏を見て、このままの幕引きは許せないと思った」と語っています。


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