2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」
主張
均等法
差別の抜け道許さない改正に
女性労働者のうち、パート、アルバイト、派遣社員など非正規雇用の比率が52・5%にのぼります。妊娠を理由にした解雇・嫌がらせや、第一子出産で七割が職場をやめざるをえないなどの実態も深刻です。
財界の要請をうけて自民党政治がすすめた度重なる労働法制の改悪によって、女性の地位向上と男女平等の流れに逆行する、あらたな差別と格差がひろがっています。
大企業ほど大きい格差
大企業ほど男女格差が大きくなっています。労働者が百人未満の企業で女性の賃金は男性の70・1%(正社員・所定内給与)に対し、千人以上では64・4%です。産業別では金融・保険業で格差が最大で53・3%です。非正規雇用を加えれば格差はさらに広がります。平等と均等待遇に対する社会的責任を投げ捨てた大企業の姿勢は重大です。
七日、男女雇用機会均等法の改正案が、国会に提出されました。二千二百万人を超える女性労働者の、均等待遇や平等な雇用をという願いにこたえた改正が求められます。
政府の改正案は、妊娠・出産による不利益取り扱いの禁止などで一定の改善もあります。しかし、差別を禁止する範囲や対象を限定しているなど、是正のための実効性の点でたいへん不十分なものです。
間接差別(性別による直接的な差別ではないが、実際には男女に格差をもたらすもの)の問題では、財界のつよい反対におされて、禁止する対象を次の三つに限定しています。
「採用時の身長・体重・体力要件」「コース別雇用管理における総合職募集・採用の際の全国転勤要件」「昇進における転勤要件」です。禁止する範囲を非常に狭くしているのが特徴です。
「差別の是正に役立たない」「限定に反対」の声があがっているのは当然です。
日本共産党は八日、「修正提案」を発表し、均等法改正にあたって、最低限盛り込むべきものとして七項目の提案をしました。
具体的には、目的に「職業生活と家庭生活との調和を図る」を明記すること、間接差別禁止では、条件をつけずに抜け道を許さない規定にすることを求めています。
そして、権限のある救済機関をつくり、気軽に相談できる窓口をひろく整備して、現実の格差の実態から差別があるかどうかを認定し、迅速に救済できる仕組みにします。企業の側に差別ではないと証明する立証責任や資料提出義務をもたせ、悪質な企業には罰則を設けます。こうした実効性を確保する制度が、現実に差別の是正に役立つ法律にするうえでは不可欠です。
産休後の原職復帰の原則、産休取得が昇給やボーナス、退職金などで不利にならないようにする、企業に格差是正のための計画策定と実施を義務付けることも提案しています。
今後、国会で法案の審議が始まります。日本共産党は、国会審議に女性の願いと声を反映させて、均等法の実効ある改正をめざします。
平等への新たな前進を
労働者の解雇の自由化やホワイトカラー労働者の残業代をただにする方向での労働時間規制の緩和など労働法制のさらなる改悪の動きもすすめられています。
均等法の実効ある改正を求める運動と、労働法制の改悪を許さず、誰もが人間らしく働けるルールづくりを求める国民的な運動――これらが大きな流れとなって、男女平等へのあらたな前進をつくりだすことを期待します。