2006年3月5日(日)「しんぶん赤旗」

米BSEの危険隠す

感染確認1年前に報告書

農水省、非公開に


 米国初のBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認された二〇〇三年十二月の約一年前に、農水省が「米国でBSE発生の可能性がある」とする報告書を作成しながら、非公開にしていたことが四日、日本共産党の紙智子参院議員事務所の調査でわかりました。

「可能性ある」のに輸入継続

 日本では、〇一年九月にBSE感染牛が発見され、全頭検査や危険部位除去を始めていました。その約一年後の〇二年十一月、農水省は、米国牛の危険度を報告書にまとめながら、米国から背骨や脳などBSE感染の危険部位の輸入を続けていました。

 EU(欧州連合)は、日本より早い二〇〇〇年七月、米国産牛肉の危険度評価を公表し、BSE危険部位の輸入をやめていました。

 存在が明らかになったのは、農水省のBSE技術検討会がまとめた「米国の牛海綿状脳症(BSE)ステータス評価結果について」(案)と題する危険度評価報告書と検討会の議事録。

 同報告書は「BSEが米国内に侵入し、リサイクルされて牛に感染した可能性はある」と記述。検査の不十分さから感染牛が見つかっていないだけで、「アメリカで将来出ないという確証はない」「出る可能性があるが、それが高いか低いかということ」(同議事録)などと、BSE感染牛が米国内に存在する恐れのあることを指摘していました。

 同検討会は、〇二年十一月二十一日の会合で評価結果を米政府に通知し、公表することを決めましたが、結局、公表されませんでした。米国側への通知も行われませんでした。

 「公表手続きが手間取っている間に、翌年(〇三年)春、カナダでBSE(感染牛)が初めて見つかり、北米全体の危険度評価の前提がくずれた」(農水省動物衛生課)というのが理由です。

 カナダと米国は北米で、同一地域とみなしていたため、BSEを確認していないという前提での報告書は公表できなくなったというのです。しかし、公表手続きに「手間取った」というのはあまりに不自然です。

 この報告書や議事録は、非公開だったため、内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会での米国牛輸入再開問題の審議でも反映されませんでした。

 これらの文書は、紙事務所の小倉正行秘書が情報公開請求をしていたもの。情報公開・個人情報保護審査会が昨年末にBSE技術検討会の資料の一部開示の決定をしたことを受け、農水省が開示しました。


米国産牛のBSE危険度評価をめぐる動き

00年7月EUが米国産牛の危険度評価を公表
01年9月日本国内でBSE感染牛発見
02年11月日本が米国産牛の危険度評価をまとめる
03年5月カナダでBSE感染牛確認
03年12月米国でBSE感染牛確認

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