2006年3月4日(土)「しんぶん赤旗」

対外債務繰り上げ返済 南米3国

経済主権を強化

新自由主義脱却はかる


 新自由主義からの脱却をはかっているアルゼンチン、ブラジル、ベネズエラは、国際通貨基金(IMF)など国際金融機関などへの対外債務の繰り上げ返済を発表、実施しています。経済主権を強化し、金融市場でより有利な立場を確保するためです。各国とも、好調な経済によって増大した外貨準備を活用しています。(メキシコ市=松島良尚)

利払いを節約

 ベネズエラのメレンテス財務相は一日、一九八〇年代に中南米で債務危機が発生したさいに債務削減のために証券化された債券(ブレイディ債)の買い戻しなどによって今年前半までに約四十七億ドルの債務を解決すると発表しました。毎年六億ドル以上の利払いが節約できることになります。

 当面の目標は、国の経済の健全ぶりを示す指標である国内総生産(GDP)に対する対外債務の割合を、現在の約30%から25%にすることです。メレンテス財務相は国内債務の再編にもとりくむと述べました。

 アルゼンチンは、今年に入ってIMFに対する百億ドル近い債務をすべて繰り上げ返済しました。

構造調整を後景に

 同国のキルチネル大統領は国会の新会期が始まった一日の演説で、「IMFのせいで失われていた主権をとりもどした」と強調。繰り上げ返済はIMFの指図から自由になることにつながり、新自由主義へまい進した九〇年代の構造調整政策は後景に追いやられるだろうと述べました。

 昨年三月にすでにIMFとの融資協定の延長を打ち切ったブラジルも引き続き対外債務の再編を重視しています。

共同歩調の見方も

 同国財務省は二月二十三日に発表した声明で、九四年に発行した額面六十六億ドル以上にのぼるすべてのブレイディ債を四月十五日に買い戻すと発表しました。市場に好感を与えることによって、短期の対外債務の支払期限を延長させることなどが目的です。

 各国の対外債務再編の措置は同時期に発表されました。

 三カ国の首脳会談がエネルギー分野などでの南米統合をテーマとして頻繁に行われていることから、共同歩調をとっているとの見方も出ています。


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