2006年2月28日(火)「しんぶん赤旗」

主張

中古家電が売れない

循環型社会に反する規制緩和


 「テレビやオーディオなどの中古家電が、四月から販売できない」「貴重な電子楽器もリサイクルできない」――二〇〇一年に施行された「電気用品安全法」の、今年四月からの猶予期限切れがいま大きな社会問題になっています。

 同法はもともと電気用品の安全性の検査を電機メーカーや輸入業者に任せるためにつくられた法律です。大企業本位の規制緩和が、リサイクル業者や消費者を苦しめています。

周知徹底もないまま

 中古の家庭電化製品や電子楽器などを扱うリサイクル業者や質屋、オーディオ店などに混乱が広がっている最大の原因は、同法を所管する経済産業省が周知徹底を怠ってきたからです。

 「電気用品安全法」では、メーカーや輸入業者が自主検査すれば、「PSE」マークを表示できることになっています。チェックは民間の検査機関任せです。表示のない電気用品は販売できず、〇一年に施行された後、製品によって五年、七年、十年の猶予期間が設けられてきました。

 ところが、テレビや冷蔵庫、音響機器などに認められた五年の猶予期間切れがこの四月に迫っているというのに、制度の周知徹底は遅れており、特に中古品については対象になること自体が知られていません。リサイクル業界では対象になることを知って、あわてて買い取りを停止するなどの事態が相次いでいます。

 マスメディアでも、「しんぶん赤旗」が十七日付で報道した後、後追いする報道が続いている状態です。

 日本共産党の塩川鉄也議員の追及に経済産業省がしぶしぶ認めたように、古物商やリサイクル業者に同省が通知したのは、なんとこの二月になってからというありさまです。

 大量の中古家電が再利用されず、そのまま廃棄されることにでもなれば、それこそ重大事態です。電子楽器などの中には「ビンテージ」と呼ばれる貴重な製品もあります。これらがリサイクルされなければ、文化的にも損失です。

 経済産業省は責任を重大に受け止め、中古家電への法律の適用延期や電子楽器など文化的価値の高いものについての適用除外などを真剣に検討すべきです。それは「省資源」や「循環型社会」を目標に掲げる政府としての責任です。

 電気用品の安全性の検査を民間任せにする仕組みは、大手のメーカーなどには都合よくても、零細業者が多い中古リサイクル業者などにとっては大きな負担です。さしあたり中古家電の安全性を担保できる検査・認証機関を国の責任で整備するぐらいは直ちに実現すべきです。

 同時にこの際見直す必要があるのは、電気用品の安全性の検査を民間任せにしてきた仕組みそのものです。「しんぶん赤旗」が繰り返し伝えているように、電気用品の安全検査が民間任せになって以降、家電事故が激増しています(二十日付)。安全性をチェックする民間の検査機関も、高級官僚の「天下り」がはびこり、癒着の温床となっています(二十六日付)。

規制緩和見直しを

 昨年以来、JRの相次ぐ鉄道事故、耐震強度偽装問題、ライブドアの証券取引法違反事件など、小泉内閣が「構造改革」と称して進めてきた規制緩和「万能」路線がもたらした問題が次々表面化しています。

 民間に任せさえすればうまくいくという、規制緩和「万能」路線に抜本的にメスを入れ、終止符を打つことが差し迫って求められています。


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