2006年2月20日(月)「しんぶん赤旗」

家電事故が激増

01年に安全規制緩和

00年 647件→04年 1024件


 規制緩和をすすめるための電気用品安全法(電安法)が施行されて以来、欠陥商品による事故が激増していることが本紙の調べでわかりました。「民間事業者の自主的な活動を促進する」(第一条)として二〇〇一年に施行された同法で、製品流通前の国の安全性チェックを緩和したことが、安全性確保に逆行したのです。同法で、事後チェックを強化するとして新表示(PSEマーク)のない中古家電の販売を禁止したことがいま、消費者と業者の間で大問題になっています。



表
 独立行政法人・製品評価技術基盤機構は人的被害や人的被害の発生のおそれのある物的事故などの情報を収集し、原因分析をしています。機構が、年度ごとに作成している「事故情報収集制度報告書」によると、家庭用電気製品の事故が電安法施行前の二〇〇〇年度は六百四十七件だったのが、〇四年度には千二十四件に増加。事故のなかで、「製品に起因する事故」の比率が急増し、電安法施行前年の二〇〇〇年度は57・86%だったのが、〇四年度は75・86%になっています。

 機構の〇四年度報告書では、「(事故情報で)収集件数が最も多かった『家庭用電気製品』の事故原因をみると、『製品に起因する事故』は四百四十三件であり、一方、『誤使用や不注意による事故』と考えられるものは三十五件で『製品に起因する事故』に比べると約8%程度である」と、製品に起因する事故率の異常な高さを指摘。「消費生活用品に係る事故を未然に防止するためには、家庭用電気製品については安全性を高めるための製品改良が有効」としています。

グラフ
 電安法では、行政のあり方を「事前規制型」から「事後チェック型」に転換するとしました。これで、型式認可の政府認証などを廃止して、製品流通前の国の安全性チェックを後退させました。公的検査機関のみだった分野にも民間検査機関の参入を認め、製品安全検査も緩和しました。あわせて「事前規制」が緩和された分「事後規制」を強化するとして、事業者による自主検査等をパスしたことを示す新表示と検査記録の保存を義務化。新表示のない製品の販売禁止、罰則規定などを盛り込みました。その際、すでに販売された新表示のない中古の家電製品なども対象になるとされました。

 機構の担当者は「電気用品安全法などの自主検査・適合性検査で見抜けなかったものもでている」といいます。この結果、電安法の技術基準に適合しない欠陥家電から出火するなどの重大事故も起こっています。

 日本共産党は、同法案は「安全確保の後退」だとして反対しました。自民党、民主党、公明党、社民党などが賛成しました。

事故防止する国の責任放棄

 法案に反対討論をした日本共産党の吉井英勝衆院議員の話 消費生活用品、電気用品などの政府認証の廃止は、事故の未然防止により、国民の生命・安全を守るという国の責任を放棄するものと指摘しました。製品の事故情報収集件数や「製品に起因する」事故率の増加は、残念ながら、指摘した通りの結果を生み出しました。

 その背景には、製品の流通前の製品安全の検査の規制緩和があります。もう一つは、製造業の産業空洞化により、日本の優れたものづくりを支えてきた下請け中小企業切り捨て、労働者のリストラが影響しています。国内の製造能力、製品の研究・開発が弱まるなど技術水準が落ちているということです。


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