2006年2月19日(日)「しんぶん赤旗」

施設庁官製談合

落札率100%/組織的な天下り

防衛庁の責任も

共産党追及で浮上


 防衛施設庁の官製談合事件で、政府・与党は、施設庁の解体・防衛庁への統合で決着させようとしています。しかし、日本共産党の国会での追及で浮かび上がってきたのは、統合先である防衛庁そのものの責任です。(田中一郎)

 衆院予算委員会(十四日)で、笠井亮議員がとりあげたのは、防衛庁が事件の発覚前にも入札の異常を把握していたのに、それを見過ごしていた―という問題です。

 笠井氏が示した「落札率1の案件に関する対応について」という防衛庁文書(二〇〇四年七月二十三日付)は、入札の驚くべき実態を示すとともに、次のように述べていました。

 ――〇二年度の調達では、予定価格と落札価格が一致している落札率100%が防衛庁全体で二千六件。防衛施設庁でも三百七件に達していた。

 ――落札率100%というのは「国民から…何らかの調達不正があるのではないか、などの疑念を想起させる」ものだ。

 ――しかし、調査したところ「新たに調達不正の問題があると認められたものはなかった」。

 談合と疑われても仕方のない実態はあったが、不正はない―。こんな結論を、防衛庁は〇四年の段階で下していたのです。

「偽装」を奨励

 それだけではありません。防衛庁は、この調査結果を踏まえ“落札率が100%にならないように”と管理局長名の通知文書(〇四年五月六日)まで出していました。

 通知後、三百七件あった落札率100%は、〇四年度にはゼロ件へと激減しました。

 今回、逮捕された防衛施設庁幹部の容疑は、この〇四年度に行った入札で談合をした疑いです。このときの落札率は80・3%―96・0%でした。

 落札率100%では発覚してしまうので、若干減らそう―。防衛庁の通知が逆に、官製談合の関係者による、こうした「偽装」を奨励する形になってしまったのです。

 そもそも落札率100%というのは、額賀福志郎防衛庁長官も「公正な競争が行われているんだろうかという疑惑を招く」といわざるをえないものです。防衛庁関係者も「落札率100%で談合に気づかなかった防衛庁に統合したところで解決になるかといえば、ならない」と指摘します。

本質ごまかし

 今回の事件では、防衛施設庁の歴代幹部が天下り先企業への優先発注を指示していたとされています。工事配分の際、天下りOBの年収の七十倍の額を、各社への年間発注額の目安にしていたケースがあったともいわれています。

 額賀長官も「(事件の)底流には天下りの問題がある」と認めます。

 この天下りが、防衛施設庁だけでなく、防衛庁でも組織的に行われていた―。このことを追及したのが、緒方靖夫議員でした(三日の参院外交防衛委員会)。

 緒方氏が示したのは、企業が天下りを受け入れる際に防衛庁へ事前に提出する申請書。「職務内容」「基本給」「諸手当」「賞与」など、企業側の受け入れ条件を記入する書式になっています。

 緒方氏は、この書式について「企業ではなく、防衛庁が作成した」という関係者の証言も示し、「(天下りを)防衛庁が人事管理の業務として行っていたということだ」と告発しました。

 ある防衛庁OBは「業界だって(天下りで)金を払っている。仕事を持ってこれないと、天下りした人間も肩身が狭い」と打ち明け、「天下りがある限り、癒着は起きる」といいます。

 真に再発防止を図るためには、防衛施設庁とともに防衛庁の責任の究明と、事件の根源にある高級官僚による天下りの全面禁止にこそ踏み出すべきです。防衛施設庁の解体・防衛庁への統合で済ませるのは、問題の本質をごまかすものでしかありません。


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