2006年2月18日(土)「しんぶん赤旗」

「通園の車中」に衝撃

「なぜ」戸惑う住民たち

滋賀・園児殺害


 十七日午前、滋賀県長浜市で起きた幼稚園児殺害事件。容疑者は同じ幼稚園に通う園児の母親(34)でした。車の中から刃物も。「とてもそんな人には見えなかった。一体だれを信じたらいいのか」。幼い二つの命を奪った突然の凶行に、住民は言葉を失いました。


■「だれを信じたら」

 静かな田園が広がる滋賀県長浜市で起きた幼児刺殺の悲惨な事件に、地元では「おどろき」「なぜこんなことに」という衝撃が広がっています。

 園児が犠牲になった市立幼稚園の近くに住み、「孫が同じ幼稚園に通っている」という男性(70)は「とんでもないことや。事件を起こした女性が送迎の当番だったのだろうが、どういう精神状態だったのか」と、まゆをひそめました。

 同幼稚園に隣接する小学校に、「事件を聞いて孫の集団下校に来ました」という女性(66)は、「ぶっそうな時だからと幼稚園も小学校も集団下校などを本当によくやっていたんです。それがこんなことになるなんて、どうしたらいいのでしょう。事件を起こしたという人に何があったのか、その子どもさんも、かわいそう」と話しました。

 事件現場の近くに住む日本共産党の竹内達夫市議は「いつもいっしょに登園している子の親は『うちの子どもは事件に巻き込まれなかったとはいえ、複雑な気持ちだ』と話していました。再発防止に何ができるのか、真剣に考えたい」と話しています。

■起きてはならぬこと

■園・市が会見

 滋賀県長浜市で五歳の幼児二人が刺殺された事件で幼児が通っていた市立幼稚園の中川明園長、橋本健市長代行、伊藤宏太郎教育長らは十七日夜、同市役所内で記者会見しました。中川園長は、「絶対に起きてはならないことが起きた。心から、めい福を祈るとともに、信頼される幼稚園づくりにまい進したい」と述べました。

 同市は、子どもの健康づくりや安全の確保、地域全体で子どもたちのようすを見るなどの観点から、四歳児から徒歩によるグループ登園を励行しています。一グループはおよそ四―八世帯で、各家庭の保護者が日替わりで引率しています。

 中川園長によると、容疑者は「子どもの面倒を毎日みたい」などの理由から、昨年四月からおこなうはずだったグループ登園に消極的で、一人で子どもを連れて登園させてしまうこともあったといいます。

 事態を知った園側は、園長や担任が登園の意義を説明。容疑者も、昨年九月からはグループ登園を受け入れていました。

 中川園長は、「(容疑者は)私たちの思いを理解され、一緒に登園できるようになったと思っていた。今後、教育委員会の指導も受け、万全の体制で送迎できるようにしたい」と語りました。

 橋本市長代行は、「子どもたちの健全育成と安全にとりくんでいた矢先の出来事で、残念・無念の極みです。関係者と協議し、早急に対策を実施したい」と述べました。


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