2006年2月3日(金)「しんぶん赤旗」

外勤社員900人「強制退職」

撤回求め35人が提訴

東京海上日動火災


 損保最大手の東京海上日動火災(東京都千代田区・石原邦夫社長=NHK経営委員長)が、保険募集に携わる外勤社員を廃止し、九百人の社員を事実上の強制退職に追い込もうとしている問題で二日、外勤社員三十五人が「労働条件の不利益変更であり無効」とする訴えを東京地裁に起こしました。提訴したのは全日本損害保険労働組合日動火災外勤支部の佐藤修二委員長(58)ら。

 同社は二〇〇四年十月、東京海上と日動火災が合併して誕生。総資産九兆円を抱え、国内市場の25%を握るトップ企業です。

 昨年、九億六千万円の保険料の不払いが判明し金融庁が業務改善命令を出したばかり。雇用の問題でもルール無視の姿勢が問われることになります。

 訴状によると、同社は昨年十月、「飛躍的な生産性の改善は困難」として外勤社員制度の廃止を発表。退職して保険代理店となるか、既存の代理店への出向や職種変更で雇用を続けるか選択するよう求めてきました。

 代理店となればいつ契約が解除されるか分からないうえに、現在と同じ保険募集を維持しても年収は平均30%(一人あたり二百二十五万円)もダウン。雇用継続の場合も賃金体系が変わるため、年収50―60%も減少する社員が多数出ます。

 訴状は、会社側の提案は「合理性や必要性もない労働条件の不利益変更は無効だとする最高裁で確立した法理に照らして違法」とのべています。

 提訴後会見した佐藤さんは「生活設計もすべて狂ってしまう。もっともうけるために辞めてもらうという身勝手なやり方は許されない」と訴え。全損保の吉田有秀委員長は「事実上の強制退職、整理解雇だ。もうけのためなら何をやっててもいいという姿勢は、ライブドア事件と同じで許されない」とのべました。

 東京海上日動火災広報部 訴状を見ておらず詳細はコメントできないが、交渉の継続中なので残念だ。


 ▼外勤社員制度 社員が直接、保険を販売する募集形態。社員であるためモラルの高さや特色ある営業政策が展開できるとして、あいおい損保など各社が採用。


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