2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」

米 一般教書演説

「戦争」出口示せず

庶民不在の経済・福祉策


 【ワシントン=山崎伸治】第二期ブッシュ政権で二回目となる今年の一般教書演説は、この一年間に同政権が外交・内政で突き当たっている問題をあぶりだすものとなりました。

 ▼外交

 イラクではこの日までに二千二百四十五人の米兵が命を落としています。米軍の戦費は一兆―二兆ドルという天文学的数字になるとの試算もあります。

 最新のウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビの共同世論調査では、三分の二の米国民が「派兵の規模を縮小すべきだ」と答えるなど、ブッシュ政権の対イラク政策への批判、不満は収まる気配がありません。

 今年の一般教書演説では外交問題の多くをイラク問題に費やしました。イラク国民議会選挙を華々しい「成功」と描いた昨年とはうって変わり、「勝利のための明確な計画」があるなど、対イラク戦略を細かく国民に説明しました。

 それでもブッシュ氏はイラクから撤退する姿勢はみせませんでした。「イラクでの活動は困難だ」と認めながらも、「われわれは勝つためにこのたたかいに臨み、勝ちつつある」と強気の表明に終始しました。

 兵力削減の「決断は軍の司令官が行うのであり、ワシントンの政治家ではない」と改めて強調。「あと知恵だけでは知恵といえない。けちをつけるのは戦略ではない」と民主党からの批判に反論しました。

 しかし現実には、イラク占領も、「対テロ戦争」も、出口を示せず、「民主・共和両党の大統領がたたかう戦争」だと述べ、戦争が今後も長期にわたるとの見方を示しました。

 ▼内政

 内政問題では「米経済は健全で、活力があり、他の主要工業諸国よりも急速に成長している。過去二年半で四百六十万の雇用を創出し、日本と欧州連合を合わせた数を上回った」と、経済の堅調ぶりを強調しました。

 しかし問題は、圧倒的多数の勤労国民が経済成長の恩恵に全く浴していないことにあります。所得格差がますます広がっているのが実態です。

 雇用の状況をみても、製造業の基幹だった自動車産業は昨年来、リストラに次ぐリストラを発表。一方で雇用を拡大しているという全米最大の小売業ウォルマートでは、低賃金労働がまかり通っています。

 ブッシュ氏は新エネルギー源の開発や二〇二五年までに中東産原油の輸入量を75%以上減らすことを打ち出しました。しかし、いま深刻な事態に直面しているガソリンの高騰には一言触れただけで、その対策はありませんでした。エクソン・モービル社が史上最大の利益を上げるなど、石油産業が空前の大もうけをしているなか、庶民の苦しみは放置されています。

 医療では、四千四百万人が無保険状態という深刻な事態になっています。ブッシュ氏は「医療保険口座」の創設を提案しましたが、問題はそうした「口座」を設けても、そこに振り込むだけの十分な賃金が保障されていないことにあります。その道筋は演説からは見えてきません。


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