2006年1月31日(火)「しんぶん赤旗」

国会の視点

閣議決定守らず 米牛肉輸入再開

食の安全まで米まかせ


 二〇〇五年度補正予算案の衆院採決を前にして、国民の「食の安全」にかかわる小泉内閣の無責任な対応がまた明らかになりました。

■首相責任大きく

 中川昭一農水相は三十日の衆院予算委員会で、民主党議員への政府答弁書で米国産牛の輸入再開以前の現地調査を言明していたのに、実施しなかったことを認めたのです。

 政府答弁書は閣議で決定します。それに反する行為は国民にウソをついたも同然です。「中川農水相の責任は重く辞任に値するものであると同時に、小泉首相の責任が大きく問われる」(市田忠義・日本共産党書記局長)ものです。

 昨年十一月の政府の答弁書では「輸入再開以前に…担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている」とはっきりのべています。輸入再開前に調査すると政府が答弁書に書く背景には、米国の「食の安全」体制に対する日本国民の大きな不信があります。

 ところが中川氏は、この調査は「輸入再開の条件ではない」「食の安全、安心について国民の理解を得られるようにするのが私の責任だ」などと弁明しました。これほど無責任な発言はありません。

■調査は不可欠

 食品安全委員会プリオン専門調査会は、米国の食肉処理場の監視の実態は不明であり、危険部位の除去の実効性は疑問だと指摘していました。米農務省自身が昨年八月、米国内で特定危険部位の除去に関する違反が一年半で千三十六件もあったことを明らかにしています。

 こうした実態、指摘を前に、事前に十分な調査をするのは必要不可欠です。その調査を怠ったのは、「食の安全」をふみにじる行為そのものです。それを「輸入再開の条件ではない」などというのは国民を愚弄(ぐろう)するものです。

 米国産牛肉に危険部位が混入していたことが発覚したことに、小泉首相は「責められるべきは米国側で、なぜ日本が責められるのか」(二十六日、衆院予算委)と開き直りました。危険部位混入も、日本政府代表が現地を査察して「適切だ」と報告を出した直後に発覚しました。

 日本国民の命と安全にかかわるこの事態に米国のペン農務次官は「(混入は)交通事故の確率より低い」といってのけました。ここまで日本は米国になめられています。今回の事態の背景には、なんでもアメリカいいなりの小泉内閣の姿勢があります。事前調査も怠り、輸入条件の確認まで米国まかせ―輸入再開要求を最優先してきた小泉内閣の責任が厳しく問われています。(古荘智子)


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