2006年1月27日(金)「しんぶん赤旗」

介護報酬改定案

「財政」口実に訪問介護切り捨て

解説


 今回の改定案は、昨年六月に自民、公明、民主の賛成で成立した改悪介護保険法にもとづくものです。「在宅重視」をいいながら、現行の要支援、要介護1の軽度者が利用している訪問介護などのサービスを切り捨てる内容となっています。

 改定案では、四月から導入される介護予防サービス(新予防給付)の一つである介護予防訪問介護の対象者について、「本人が自力で家事等を行うことが困難な場合であって、家族や地域による支え合いや他の福祉施策などの代替サービスが利用できない場合」という限定をつけています。二十六日の社保審介護給付費分科会では、委員から「こういう限定は、利用者のみならず、介護職員にも不利益になる。四月以降の介護サービス利用に混乱をきたす」などの意見が出されました。

 現行の訪問介護サービスについても、「生活援助」についての加算を廃止するなど、サービス抑制につながる内容が盛り込まれています。

 政府・厚労省は、訪問介護サービスが「生活機能を低下させる」として、抑制を求めていましたが、今回の改定案で、本当の狙いが財政面からの介護給付費抑制であることが明らかになりました。

 法案審議で、ある自民党議員が「どのようなサービスをすれば、その人の状態が改善し、どれだけのコストがかかるのか、財源をどうするのかという順番で考えてほしかった」とのべ、「財源論」を先行させた「新予防給付の考え方にも疑念をもたざるをえない」と指摘したほどです。

 軽度者へのサービスを制限すれば、介護状態の悪化により在宅での生活が困難になる可能性もあり、政府のいう「在宅重視」という理念にも反するものです。一時的には給付費を抑制できても、将来的にはかえって給付費が膨らむこともなりかねません。(山岸嘉昭)


■介護報酬改定案主な内容

 厚生労働省が二十六日、社会保障審議会介護給付費分科会に諮問した介護報酬二〇〇六年度の改定案の主な内容は以下のとおりです。

【在宅サービス】

【ケアマネジャー】

 1件月額8500円→要介護1、2 月額 1万円

         要介護3〜5 月額 1万3000円

 標準担当件数50件→35件(一定以上超えると減額)

【訪問介護】

○生活援助で 1時間30分以降、30分増すごとの加算

  830円→廃止

○3級ヘルパー(3年後に廃止)

 10%減額→介護給付30%減額、予防給付20%減額

【介護予防サービス】

【介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション】

○基本単位(要支援1の場合)

 介護予防通所介護    月額 2万2260円

 介護予防通所リハビリ  月額 2万4960円

○各種加算

 運動器機能向上加算   月額2250円

 栄養改善加算      月額1000円

 口腔機能向上加算    月額1000円

 アクティビティ実施加算 月額 810円

 事業所評価加算     月額1000円

【施設サービス(要介護4の場合)】

【特別養護老人ホーム】

(ユニット型個室)月額23万8000円→月額26万4000円

(多床室)    月額26万5000円→月額25万9000円

【老人保健施設】

(ユニット型個室)月額25万7000円→月額28万6000円

(多床室)    月額29万1000円→月額28万5000円

【介護療養型医療施設】

(ユニット型個室)月額34万6000円→月額37万5000円


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