2006年1月20日(金)「しんぶん赤旗」

米の拷問・虐待

テロ対策に悪影響

国際人権団体が非難


 【ワシントン=鎌塚由美】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は十八日、二〇〇六年版人権報告書を発表し、テロ容疑者に対する「拷問と虐待」が、「入念な対テロ戦略の一部になっている」とブッシュ政権を非難しました。

 同報告書は、米軍による拘束者への拷問・虐待は、一部の下位の兵士の不正行為ではなく、「米政権高官による意識的な政策選択である」と指摘しています。

 同日、記者会見した同団体のケネス・ロス代表は、マケイン上院議員によって提出された拷問禁止法案に対してブッシュ大統領が拒否権を示唆したり、チェイニー副大統領が中央情報局(CIA)に対する同法の適用免除を働きかけたことからも、「拘束者を非人間的に扱うことを公式の政策にしている唯一の政府が米国だ」と強く批判しました。

 同代表は、テロとのたたかいで「テロ容疑者に対し違法な方策がとられることは誤りだ」と強調し、拷問がテロリストを勢いづかせ、対テロ努力への国民的支持をそぐ結果となると述べました。さらに、「ブッシュ政権は、拷問問題を調査する特別検察官を任命し、議会は、独立した超党派の調査委員会を設置すべきだ」と語りました。

 同報告書は、ブッシュ政権が自らの人権感覚をまひさせていることが他国にも悪影響を与えていると指摘。テロ容疑者を拷問が行われる可能性のある国に送還する英国などの例を紹介しています。

 五百三十二ページにわたる報告書は、〇五年の七十カ国以上の人権状況を掲載、拷問に関する章のほか、企業と人権の問題、HIVエイズ問題を取りあげています。


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