2006年1月18日(水)「しんぶん赤旗」

堀江氏持ち上げた自民の責任は

ライブドア強制捜査


 「誠に遺憾の極み。捜査当局の厳正な捜査を望みたい」(武部勤自民党幹事長)――東京地検がライブドアを強制捜査したことに、昨年の総選挙で同社の堀江貴文社長を支援した自民党幹部が他人事のような態度をとっています。しかし、「勝ち組」のリーダーとして堀江氏を持ち上げ、党運営にその協力を仰ぐことまでしたのは、小泉純一郎首相、自民党ではなかったのか――。

■「刺客」として

 堀江氏は、プロ野球への参入やニッポン放送株の買い占め問題で話題を集めました。

 昨年の総選挙のさい、武部幹事長ら党幹部が堀江氏に直接会って、党公認も視野に出馬を打診したのは八月十五日。「金さえあれば何でもいいのか」(森喜朗前首相)と党内の一部にあった異論を抑え、堀江氏は亀井静香・元自民党政調会長の「刺客」として広島6区から無所属で立候補(落選)しました。

 無所属といっても、出馬を正式表明した八月十九日には、武部氏が党本部で一緒に並んで記者会見する熱の入れよう。同日の小泉首相との会談で堀江氏は「首相の改革路線、郵政民営化に賛成で、志もまったく同じだ」と表明しました。自民党は堀江氏を事実上党公認のように扱ってきたのです。

 実際、堀江氏の出馬に小泉首相は「政治に関心がない層も堀江氏が出馬すれば関心を持ってくれる。エールを送りたい」(八月十九日)と持ち上げました。武部氏は選挙応援の先々で「ホリエモンこと、堀江貴文さんは無所属だが、(郵政民営化)賛成・改革派」(九月八日)、「テレビでみるあのニッポン放送の乗っ取り話の時とは全然違う。純粋な顔つき、顔色にかわってきた」(八月二十六日)などと、「小泉改革」推進の象徴としてアピールしました。

■選挙のみならず

 自民党と堀江氏との関係は選挙中だけではありません。落選した堀江氏は昨年十月三日に自民党本部を訪れ、武部氏と懇談しました。選挙での支援のお礼を述べた堀江氏に武部氏は、党の広報戦略・組織活動を強化するための民間会社を設立する構想を披歴。「今後党の運営に関して、堀江さんのアイデアを提供していただければありがたい」とアドバイスを求める関係にまでなっていました。堀江氏も「われわれは得意なので、貢献できないかなと(思っている)」(会談後の記者会見)と語っています。

 この間の関係を振り返るなら、自民党執行部がいまになって、「どういう問題かよく分からないが、見守っていきたい」(十七日、小泉首相)などといえないはず。ライブドアの強制捜査は、「勝ち組」政治を進めてきた政党のあり方も問われています。(高柳幸雄)


■堀江氏に対する自民幹部語録

◆居直り、いいわけ◆

【小泉純一郎首相】

 「会社でも、採用したけれど不祥事を起こしたら、採用が間違っているといえるのか」「(自民党が総選挙で応援したことに)その時点では郵政民営化に賛成する人は応援するということなので、今の問題とは別問題だ」(17日、記者団に)

【武部勤幹事長】

 「堀江さんが選挙に立候補したいという話をうかがったとき、(堀江氏に対し)『会社経営と政治は二股(また)をかけてやれるものではない。経営者を辞めなければ公認できない』と、いろいろなことを申し上げた」(17日の記者会見)

◆これまでは…◆

【小泉首相】

 「新しい時代の息吹というかな、若い感覚をこれからの日本の経営に与えてくれるんじゃないかな。何か新しい雰囲気を感じますね」(2005年8月16日、記者団に)

【武部幹事長】

 「精神的にも全面的に支援したい。堀江君は将来の日本を背負っていくリーダーになる方だ。私は大いに応援したい」(同8月23日、民放番組で)


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