2006年1月14日(土)「しんぶん赤旗」

東南アジア各紙

「平和の共同体」の流れ妨げる

小泉外交に憂慮表明


 東南アジア各紙は、米国に追随する一方で靖国神社参拝へのアジア諸国の抗議に居直り続ける日本の小泉外交が、「八方ふさがり」に陥り、東アジアでの「平和の共同体」をめざす流れを妨げているとの憂慮を表明しています。


 インドネシア英字紙ジャカルタ・ポストは昨年十二月二十三日、「東アジア首脳会議での日本と中国の小競り合い」と題してマレーシア英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズの論評記事を転載しました。

 同記事は、同月のマレーシアでの東アジア首脳会議では、「日本と中国、韓国との不和が、明白だった」として、こう述べています。

■靖国参拝で居直る

 「小泉氏は、二〇〇一年に首相に就任して以来、毎年、靖国神社を参拝してきた。彼は最近の参拝後、『今の平和は、戦争で死んだ人びとの犠牲によって築かれたことを忘れてはならない』と語り、自らの行為を正当化した。これは、日本が第二次世界大戦で犠牲者というより、侵略者であったことからして理解しがたい。

 同紙は、「アジアで孤立した日本は、米国との間により緊密な関係を見いだそうとしている」「靖国問題が解決されるよう望む。さもないと、東アジアの未来は危うくなるだろう」と結んでいます。

 シンガポール英字紙ストレーツ・タイムズは十二月十五日、東アジア首脳会議についての特集記事で東京特派員の論評記事を掲載しました。

 記事は、「小泉氏が二〇〇一年四月に首相に就任して以後、日本は興隆しつつある中国に対し地域での指導的立場を失ってきた」と指摘。「日本の指導者(小泉氏)は、クアラルンプール滞在中、靖国問題につきまとわれた。輪番議長国の中国は一九九九年以来、東南アジア諸国連合(ASEAN)+日中韓の会議の際に開かれてきた日本、韓国との三者会談を延期した。十二月十三日、小泉氏は、ASEAN加盟国から日本が中国との不和を続ければ、地域に不安定をつくり出しかねないという憂慮の声をあびせられた」「中国と韓国にとって、靖国はたんなる一般的な問題ではない」と述べています。

■地域協力の意思ない

 シンガポールの中国語紙・聨合早報は十二月十九日、日本留学経験もある同紙元論説委員のコラムニスト黄彬華(ウォン・ピンファ)氏の東アジア共同体についての評論記事を掲載。東アジアの平和と安定に日本と中国、韓国の協力が不可欠だが、「日本には地域協力の意思がない」としています。

 記事は、「国際化と地域の共同体化は、現在の国際関係の潮流である」、「中、韓、日が東北アジアで三本足のかなえのようにそびえ立っているのは、東アジア史上前例のないことだ」と指摘。一方で、「中国の興隆が東北アジアでの勢力の均衡を変えた。日本ではこれが自国の指導的地位にたいする重大な脅威として受けとめられている」「こうしたなかで、小泉首相は国内外の非難を顧みず、外交的損失を考慮に入れず、靖国神社参拝などの刺激的な行動を堅持して北東アジア諸国間に緊張関係をつくり出している」と述べています。

 そして、「憲法を改定し、第九条をさらに空洞化させる」動きが顕著になったと指摘。「日本でのこうした動向は、アジアの隣国のなかで東アジア経済協力への萌芽が始まりつつあるのに、かつての冷戦思考がまた燃え上がり、協力が政治的理由で乱れたり、不測の危険に遭遇するのではないかという憂慮を引き起こしている」と述べています。


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