2006年1月14日(土)「しんぶん赤旗」

自民党総裁選

「靖国」を“争点化せず”

内外の批判、抑え込み狙う


 靖国問題を「ポスト小泉」を選ぶ党総裁選の争点とすべきかどうかをめぐり、自民党内でさまざまな発言が飛び交っています。

 「争点とすべきでない」と明確に言い切る一人が、靖国参拝支持派の安倍晋三官房長官です。九日の民放番組で「靖国問題を総裁選の基本的なテーマとすべきではない」と発言。翌日の記者会見で、「総裁選で議論することで、より外交・政治問題化する。本来はそうさせないことが大切ではないか」と、発言の意図を説明しました。

■小泉首相も安倍氏後押し

 小泉首相は十一日、外遊先での記者団との懇談で「参拝をしろとかしてはいけないとか、どの人にも言うつもりはない。精神の自由、心の問題だ」とのべ、事実上安倍氏を後押し。安倍氏も「見識あるご発言」(十二日)と首相を持ち上げました。

 武部勤幹事長も「日本の政治家がこのことを争点にして政治問題化するのはどうかなと思う。次の首相になる人が靖国参拝するかしないかは問わない」(十二日、金沢市で)と同調。党執行部として「争点化せず」の路線を敷こうとしています。

■戦後の国際秩序真っ向から否定

 「政治問題化させないのが大事」といいますが、ここまで政治問題化させてきたのは小泉首相自身です。それに対して国内外から厳しい批判が起こると、「政治問題化させるな」と批判を抑え込みにかかるのは、本末転倒です。

 靖国問題で問われているのは「心の問題」ではありません。過去の日本の侵略戦争を正当化する目的を持った靖国神社を首相が参拝するという行為です。首相の行為によって靖国神社の主張にお墨付きを与えることになります。侵略戦争への反省という戦後の国際秩序に、真っ向から逆らうことになり、日本が国際政治に参加する資格が問われる大問題です。

 党内や財界から批判が相次いでいるのもそのためです。「自らが総理総裁になった場合は何をやるかということだけは明確にしていきたい。…アジアの問題が一番改善を要する」(山崎拓前副総裁)、「(次の政権はアジア外交を)できれば変えていただきたい」(奥田碩日本経団連会長)―。小泉首相やその後継者らが、一切の批判を「心の問題への介入」とはねつけるだけなら、もはや国政をあずかる資格はありません。(坂井希)


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