2006年1月10日(火)「しんぶん赤旗」

中小企業の景気不透明

製造業の従業員10年連続減


 製造業大企業が史上空前のもうけをあげ、小泉内閣は「景気は回復」を強調しています。しかし、中小企業の景気の先行きは依然不透明で、大企業との格差も目立ちます。(大小島美和子)


 経済産業省がまとめる国内の鉱工業生産指数(二〇〇〇年を一〇〇とする)では、大企業を含む全規模の製造工業生産で、機械産業を中心に一〇〇を超える生産の回復がみられます。

 一方、中小企業は全体で九〇台前半が続いています。格差が鮮明です。

 「一九八五年のオイルショック以後でこの三年間が一番低い水準」。一人当りの年間売上額を示し、東京都大田区の金属加工業者(従業者四人)、池田清さんはいいます。

 設備投資関連の製造装置部品などの発注は一時続いたかと思うとまた途絶え、先行きが不透明です。「なにしろ単価が低い。下請けの採算がとれないような単価を(親企業が)平気でいってくる」と池田さん。

 同区では、一部に仕事が増えたという金属加工業者もいますが、同様の仕事をする工場が急速に減ったためではないかとみられています。

 〇四年度の工業統計でも製造業事業所はここ十年間のうち九年で減少。従業者数は十年間一貫して減り続けています。

 国内向け消費関連産業の景況はさらに厳しいものがあります。中小企業製造工業生産指数は窯業・土石製品が〇五年十一月に、二〇〇〇年の七割台、繊維工業が同六割台にとどまっています。

 これらを担う国内の産地(地場産業)は縮小が顕著です。中小企業庁が〇五年に発表した「産地概況調査結果」では、年間生産額が約五億円を超える産地の総生産額は二〇〇〇年から〇四年の間に20・5%、産地企業数は同25%減少するとみられています。

 産地が抱える問題点には「内需の不振」「受注単価の低下」「構造的な競合輸入品の増加」「熟練技術・技能工の高齢化」などがあげられ、「不況と構造的な変化の両面」で困難にさらされています。

グラフ
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