2006年1月10日(火)「しんぶん赤旗」

やまぬ「大連立」発言

自民・民主に「違いなし」


 小泉純一郎首相が昨年十二月、唐突に発言して物議をかもした自民党と民主党との「大連立」構想。今年も年明け早々から各党党首が言及し、「大連立」構想をめぐる発言はやみません。

 小泉純一郎首相は年頭の記者会見(四日)で、民主党の一部議員との「協力」の是非について問われ、「(民主党は)安全保障面でも、憲法改正の問題でも、簡素で効率的な政府を目指そうということでも、かなり自民党と似ているところがある」と強調。「民主党が自民党と協力できる分野はある。その際には協力してもらえればありがたい」とのべました。後継政権にひきつぐ改憲や消費税増税などの政治課題の推進に、民主党も巻き込みたいとの思惑です。

 自民党の中川秀直政調会長も「(民主党と)協力できることは何でも協力したい」(四日、広島市内の講演)と首相の発言に同調しました。

 公明党の神崎武法代表は、「与党が衆参両院で過半数を確保している中で、野党第一党との大連立をうんぬんすること自体、民主政治の否定につながりかねない」(四日、同党新春幹部会)と不快感を示し、自公連立体制の維持を強調しています。

 一方、民主党の前原誠司代表は、牛尾治朗・ウシオ電機会長を通じて首相サイドから連立構想の打診があったと報道され、仕事始めのあいさつ(五日)で、「常に政権交代をめざし、国民の目線に立って、違う選択肢がほしいという国民の受け皿となる準備をしなければならない」と「大連立」打ち消しに躍起です。

 しかし、「大連立」が騒がれる背景には、「民主党は、日米同盟関係も必要だし、自衛隊も重要だと考えており、立ち位置という意味では、昔の自民党と社会党のような大きな違いはない」(日本経団連『経済トレンド』一月号)という前原代表の姿勢があります。集団的自衛権を行使できるように憲法を改定すべきだと公言する前原氏の姿勢に、マスメディアも“前原氏が自らの個性を出そうとすればするほど、民主党と自民党との違いが分からなくなる”と指摘しています。

 前原執行部の姿勢に同党の小沢一郎前副代表は新年会のあいさつ(一日)で、「自民党とできるだけ同じにとか、手を握ってというのは間違いだし、国民も望んでいない」と批判。自民党との“距離感”をめぐって、党内で意見の違いがあらためて示されました。

 政界に波紋を広げる小泉首相の「大連立」発言は、「二大政党制」づくりのもとで進行する国政の「オール与党化」の実態を如実にあらわしています。(小林俊哉)


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