2006年1月10日(火)「しんぶん赤旗」
青空広がり除雪に懸命
新潟・津南町 今冬すでに8回
記録的な豪雪となった新潟県津南町では九日、青空が広がり穏やかな一日となりました。住民らが除雪作業に追われる姿が見られました。(唐沢俊治)
「七十何年もここに住んでるけど、今年の冬は異常だて。異常気象」。かんじきを履きスノーダンプで、自宅の軒下に積もった雪の山を削るのは、秋成集落の桑原賢司さん(78)。屋根の雪は積もらず滑り落ちる構造ですが、落ちた雪が五メートル以上積もり、二階部分をすっぽり覆い隠しました。
「(例年は)一月半ばから節分までが一番降る。一月初めにこんなに降るのは終戦の年以来。いや、今年のほうが多いんじゃないかな」。白い息を吐きながら、妻と黙々と作業をこなします。
「無事に正月は迎えられましたが、気分は正月じゃなかったですよ」というのは、同集落の女性(65)です。同様に屋根に雪が積もらない構造ですが、軒下に雪が堆積(たいせき)し、家の周囲の除雪は今冬すでに八回。自宅前の道は、地下水をくみ上げホースで散布し融雪しますが、豪雪へ対処するため大量にくみ上げ、枯渇ぎみです。「井戸水が時々出なくなることがあるんですよ。これ以上雪が降らないでほしい」
■除雪追いつかない
正面集落の福原光さん(69)は、朝五時から家族で除雪作業に追われました。自宅前の道路は高さ三メートルほどの雪の壁に覆われ、車が一台通れる程度。重機が入れない細い路地のため、作業が進みません。福原さんは「こんな大雪は、生まれて初めて。細い道路の除雪も、行政で対応できないものか」。
「家がミシミシいってつぶれるんじゃないかと、おっかなくてね」と言うのは、同集落で独り暮らしの藤ノ木君枝さん(73)。昨年末まで入院し、屋根に雪が二メートル以上積もったままです。業者に依頼しましたが業者も手いっぱい、雪下ろしできるのは二、三日後といいます。昨冬は雪下ろしを業者に三回依頼し、十七万円かかりました。「近所の人も手が回らないし、町内に住む娘の所に避難しようか」
除雪にあたる業者もフル稼働ですが、除雪に追いついていません。
津南町内で除雪作業にあたる十日町市の業者で重機を動かすのは山田敏雄さん(64)。「きのう、今日(八、九日)連休だったんだけど、この雪だからさ、休みなしでやってますよ。今年はものすごく雪が多くてどうにもならない」と、つかの間の休憩にぽつりと言い、再び操作ハンドルを握りました。