2006年1月4日(水)「しんぶん赤旗」

JR特急転覆

気象庁観測生かされず

現場上空 大型積乱雲とらえ警報


 JR羽越線の特急「いなほ14号」脱線転覆事故で、秋田、新潟両県にある気象レーダーが、庄内町の脱線現場上空を通過する大型の積乱雲をとらえていたことが三日までにわかりました。大型積乱雲は強風発生の重要条件です。

 JR東日本は、列車運行規制を同社の風速計記録だけでおこなっていたため、突風が発生することを示す気象庁酒田測候所の観測結果が列車の徐行や一時停車などに生かされませんでした。強風が発生しやすい気象条件のもとで、時速百キロ以上で特急列車を走行させる結果になったJR東日本の気象監視体制や運行規制基準の見直しが迫られています。

 事故は昨年十二月二十五日午後七時十四分ごろ発生。気象レーダーの観測結果から、秋田県南部から新潟県・佐渡島方向に並んだ積乱雲が、寒冷前線とともに東へ現場上空を移動していました。

 現場上空の積乱雲は冬季としては非常に大型だったため、地上では竜巻や「ダウンバースト」と呼ばれる爆発的な下降気流などの突風が発生しやすい気象状態で、気象庁は暴風雪警報を発令していました。

 停止時や徐行時よりも強風の影響を受けやすい時速約百キロで走行していた特急の運転士(29)は、事故当時の様子を「西から強風が吹き車体が浮き上がった」と語っています。同社の現場付近の風速計は三回にわたって、警戒レベルの風速二〇メートルを観測。しかし、JR東日本は、運転の徐行レベル(同二五メートル)、運転見合わせ(同三〇メートル)に達していないとして、運行規制はおこなっていませんでした。

 列車転覆現場から南西六キロの国道7号沿いで、風速四〇メートルまで耐えられる構造の防雪さくが約二十メートルとばされたり、現場から東方向でも農業施設の倒壊などの強風被害が発生していました。気象庁酒田測候所は「局地的に強風が吹いた可能性もある」とみています。


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