2005年12月28日(水)「しんぶん赤旗」

ワールドリポート

協約更新求め団結

米・サンフランシスコ ホテル労働者2年越しの闘争


 米カリフォルニア州サンフランシスコで、十四の大手ホテルで働く労働者が、労働条件の改善を求めて足掛け二年の闘争を続けています。組織しているのは繊維・ホテル・レストラン労組(ユナイト・ヒア)第二支部。その闘争は、全米のホテル労働者に影響を及ぼす重要な意味をもっています。(サンフランシスコ=山崎伸治 写真も)


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(写真)労働条件改善をしぶる大手事児ホテルの利用を「ボイコット」するよう求め、デモ行進するホテル労働者=15日、サンフランシスコ

 クリスマスの買い物客でにぎわうサンフランシスコ一の繁華街マーケット通りから、有名なケーブルカーの走るパウエル通りに、約三百人のホテル労働者のシュプレヒコールが響きます。協約更新に応じない大手ホテルの利用を「ボイコット」するよう訴えるデモ行進が十五日夕、行われました。

■55%を組識

 その顔ぶれは中国やフィリピン、中南米からの移民の人たちがほとんどです。第二支部が組織するのは、約六十のホテルで働く四千五百人、全ホテル労働者の55%に当たります。いずれもベルボーイやハウスキーパー、コックなどホテルのサービスを支える人たちです。

 エルサルバドル出身のグアダルーペ・チャベスさん(51)は二十五年間、ヒルトン・ホテルでハウスキーパーとして働いてきました。「楽ではありません。会社はもうけているのに私たちには払おうとしない」と批判します。

 二〇〇四年九月、協約の期限が切れたにもかかわらず、大手十四ホテルの経営者グループ(MEG)は賃上げや健康保険の拡充の要求を拒んで更新に応じず、労組側は四つのホテルでストライキに入りました。

 二週間後、今度はMEGが十四のホテルをロックアウトして対抗。これが約五週間に及びましたが、労働者の結束は固く、観光業が主要な産業である地元の批判を呼び起こしたため、MEGはロックアウトを解除せざるを得なくなりました。

■都市を超え

 コックをやって二十年というマイケル・ディジュリオさん(55)は「職場にもどると経営者側は報復してきたよ。人減らしで仕事を集中させたりね。でもそれもはねのけてきた」と語ります。

 闘争が一年を超え、長期化するなかで、MEGの内部も協約更新に応じるかどうかで二分。十四ホテルのうち、三つでは更新に応じています。

 第二支部のマイク・ケイシー委員長(47)はサンフランシスコでの闘争が、北米のホテル労働者全体にかかわる重要な意義をもっていると強調します。

 「二〇〇六年の夏から秋にかけて、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロサンゼルス、ホノルル、カナダのトロントで協約更新の時期を迎えます。私たちは経営者側に、それぞれの都市のホテル労働者がばらばらではなく、一つの運動となっていることを示さねばなりません」

 米国のホテル業界は「ヒルトンやハイアット、インターコンチネンタル、スターウッドといった一握りの大企業に牛耳られている」(ケイシー委員長)状況にあります。サンフランシスコのホテルの95%がいまや大企業の傘下。それに対抗するには、都市の枠組みを超えた労働者・労組の団結が求められるといいます。

 ディジュリオさんも自信を見せます。

 「新しい協約が勝ち取れないとは思わないよ。同僚も労組指導部も団結して、決意は固い。経営者にはそれがわからないんだね」


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