2005年12月24日(土)「しんぶん赤旗」

近づく第24回党大会

情勢の中で決議案を読む

アジアで小泉外交孤立


 「中国や韓国との関係が悪化したままで日本は大丈夫なのか」「アジアで米国の代弁者になるのはあまりにもさびしい」―。日本外交を深刻に憂慮する声がきかれます。日本共産党の第二十四回大会決議案は、「日本外交のおちいっている『八方ふさがり』」の根底に、自民党政治の異常な特質―「過去の侵略戦争を正当化する異常」と「アメリカいいなり政治の異常」があると分析しました。


■クアラルンプールで四面楚歌

 「日本にはなぜ友達がいないのか」。米誌『ニューズウィーク』十月三十一日号は、表紙にこう問いかける日本特集を掲載。十二月七日号(日本語版)では、独りぽっちの小泉首相の周りで近隣諸国が楽しく談笑する漫画を掲載しました。

 米誌にやゆされた小泉外交の孤立は十二月中旬マレーシアの首都クアラルンプールでの初の東アジア首脳会議でも明らかになりました。韓国のメディアは、「中国と韓国が日本を挟み撃ちにした」「日本は冷遇され、小泉首相は外交的孤立を痛感しなければならなかった」と報じました。

 首相は、中韓両国から首脳会談を拒否され、毎年おこなわれていた三国首脳会談も中止に追い込まれました。十一月、釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)での不調に続く異常事態でした。「中国と韓国だけがアジアではない」。会議の前の麻生外相の発言が中韓両国首脳の態度をいっそう硬化させました。

 中韓両首脳は、クアラルンプールに集まった東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国の首脳に歴史問題について説明。ASEAN諸国は「日中関係の対立を懸念している。関係をうまく処理してほしい」(議長国マレーシアのアブドラ首相)と注文をつけ、フィリピンのアロヨ大統領も「同じ懸念をもつ」と同調しました。

■包囲される靖国史観

 「靖国神社は歴史を否定し、日本軍国主義の侵略を美化するものだ。遊就館はそのなかで『靖国史観』を宣伝する中核的な施設だ」。中国外務省は十一月二十二日、こう強調しました。麻生太郎外相が、「遊就館は事実を展示しただけ」とのべたことに反論したものですが、中国側が首相の靖国参拝を批判する根底に、A級戦犯の合祀(ごうし)にとどまらず、戦争正当化の歴史観があることを明確にしたものでした。

 「靖国は外交カードにならない」。小泉首相による会議直前の挑戦的な発言がアジア諸国を刺激しました。

 中国の温家宝首相はクアラルンプールで、「日本の指導者が歴史問題に正しい態度をとらず、中韓両国とアジア人民の感情を傷つけている」と公然と批判。韓国の盧武鉉大統領は「ドイツは隣国に苦痛を与えた人々の追悼施設を一つもつくらなかった」とけん制。東アジア共同体へむけた「努力の核心は、過去の秩序にたいする徹底的な反省に基づく」と強調しました。

 小泉首相には米国からも過去の歴史の清算を求める声が上がっています。

 九日付の英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンが掲載した二人の米国有力研究機関の研究員の論評もその一つです。論評は、日米同盟強化や日本の改憲を支持する立場からみても、遊就館に展示された靖国神社の戦争正当化歴史観は容認できないと強調。東アジア首脳会議の場で、首相は参拝中止を宣言すべきだと呼びかけました。

■代弁者では情けない

 「十年前まで日本はASEANにとってナンバーワンだったが、いま地域での存在感は低下傾向にある。中国の台頭の陰になって、政治的な役割を果たそうとしているようにみえない」(タイのチュラロンコン大学ポンスティラック助教授)。

 アジアの識者から日本への失望が聞こえます。彼らが指摘する最大の理由は、日本がアジアと向き合わず、「米国の代理人」になっている点です。

 「米国との関係がよければ他の国ともうまくゆく」。十一月の日米首脳会談での小泉首相の発言には「アジア諸国への侮辱」(韓国メディア)と反発がおきていました。東南アジアも「米政策の延長ではなく地域のなかで自らを考えてほしい」(インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポスト十一月十七日付社説)と注文をつけました。

 アジアのこうした失望感に日本の識者から「日本がアジアで米国の代弁者になるのはあまりにもさびしい」(早大大学院の天児慧教授)との声があがっています。

■米国が誤り認めても

 「イラク攻撃は誤った情報にもとづいたものだった」「私の決定で恐るべき損失がでた」。ブッシュ米大統領は最近、イラク戦争の「誤り」を間接的に認める発言を繰り返しています。国内の反戦世論の批判に耐えられなくなったためです。国際的にもイラクから撤兵し、撤兵の計画を明確にする諸国があいついでいます。

 そのなかで撤収の見通しや条件など自国の戦略を明らかにしていないのは日本の小泉内閣だけです。「米国言いなりの異常」がここでも際立ちました。

 大会決議案はのべています。「日本の政治のゆきづまりの打開の道は、三つの異常なゆがみそのものに根本からメスを入れ、それをただす改革をすすめることにある。日本の情勢は、古い政治の枠組みを打開する新しい政治を切実にもとめる、歴史的時期をむかえている。日本共産党が前大会で決定した新しい党綱領と日本改革の方針は、その道をしめすものである」


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