2005年12月23日(金)「しんぶん赤旗」

大型店の郊外出店規制へ

経産審合同会議が提言

「規制緩和」の破たん示す


 経済産業省の審議会合同会議は二十二日、大型店の郊外出店への規制を都市計画法の制度改定により強化するよう提言する中間報告をまとめました。

 大型店の出退店自由化を正当化してきた法律のもとで、中心市街地の空洞化が進み、見直しに手をつけざるを得なくなったもの。自民党政治が推し進めてきた「規制緩和万能」論の破たんとして注目されます。

 中間報告をまとめたのは、大規模小売店舗立地法(大店立地法)など「まちづくり三法」の見直しについて論議してきた産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会商業部会の合同会議。「まちづくり三法」を施行した後に高まった大型店の出店規制を求める世論と運動を受けて開催されてきました。

 報告は、人口減少が始まる社会では、地域の「コミュニティの維持」や大型店の郊外出店にともなう基盤整備による自治体財政の負担などを考慮すると、「コンパクト(小さいが中身の詰まった)でにぎわいあふれるまちづくり」が望ましいとまとめ。「郊外地域へいくほど(出店)規制を厳しくする」など都市計画法の見直しを求めています。

 一方、報告は「需給調整の禁止」を掲げる立地法十三条を肯定し、自治体が条例などで大型店規制をすることをけん制する姿勢を変えていません。

■世論と運動が政府を動かした

 塩川鉄也衆院議員(日本共産党国会議員団経済産業部会長)の話 報告は「住みよいまちを」「大型店の身勝手な出退店をやめよ」という全国各地の商業者、住民らの運動や中小企業団体、地方自治体などの取り組みと世論が政府を動かした結果であり、乱開発の規制が必要だとの国民の要求を反映したものです。

 しかし、報告は「地域的な需給調整」を禁止した大店立地法の抜本改定には指一本触れていません。実効ある都市計画規制を含む「まちづくりルール」の確立は、今後のたたかいにかかっています。


■解説

■大型店出店の規制提言

■巨大店で市街地は疲弊

 経済産業省のまちづくり審議会合同会議が大型店の郊外出店を規制するため、関連法の見直しを提言するに至ったのは、世論と運動に押されたものです。

 政府は米国や日本の小売業大手の要望を受け、一九九〇年代に大型店の出店規制を相次いで規制緩和し、九八年には大型店の出店を調整・規制する機能を持たない大店立地法を制定(二〇〇〇年施行)しました。これにより大型店の郊外への巨大な店舗が相次ぎ、その影響を受けて全国各地に、シャッターを閉めた店が並ぶ“シャッター通り”が出現し、百貨店の閉鎖なども起きて、中心市街地の疲弊は一気に進みました。

 報告で大型店の郊外出店を規制する方向を打ち出したことは、これまでの「規制緩和万能」論が通用しなくなったことを示しています。大型店の郊外出店を自由にするのではなく、抑制・規制すべきだとの世論と運動が、政府や与党をも動かしています。

 都市計画法の改定については、国土交通省の審議会で審議されており、その動向が注目されています。

 一方で同報告は、地方自治体の条例に関し、大店立地法一三条を引用して、「地域的な需給状況を勘案」することのないよう強調。地方のまちづくりのために大型店規制策を抑制している同条項の修正にはいっさい手をつけていません。

 日本共産党は、国会議員団が全国調査にもとづく提言を出し、「まちづくり」と大型店の出店について住民と自治体がみずから決定できるルールの確立などを求めています。(大小島美和子)


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