2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

ヒューザー破産申し立てへ

財産保全へ マンション住民


 「ヒューザー側が責任を果たす意思がない限りは資金の流出を抑えたい」。耐震強度偽装問題で二十一日、ヒューザー(東京都千代田区)が建築主になっている複数のマンションの住民が、同社の破産申し立てを検討していることを発表しました。ヒューザーの財産を保全し、損害補償に充てるためです。


 申し立ての検討を発表したのは、グランドステージ稲城(東京都稲城市)、同東向島(墨田区)、同住吉(江東区)、同下総中山(千葉県市川市)、同川崎大師(神奈川県川崎市)などの住民です。

 会見で、グランドステージ住吉の八住庸平対策委員長は同社の小嶋進社長と十四日に会った際に、資産残額が「五千万円を割り込んでいる」と伝えられたことを報告。「ヒューザーには補償能力がなく、補償する意思もない」と指摘しました。

 八住氏は「ヒューザー側の提案はどれも誠実なものではなく、一つも履行されていない」と怒りを表明。破産申し立てを検討している理由について「資産は日々へっている。一円でも資金の流出を抑え、一円でも多く回収したい」と説明しました。

 グランドステージ東向島の田中拓代表は「こういったマンションの問題はこれまでも起きていた。今後は制度として、こういったことが起こらないようにしてほしい」と思いを語りました。

 小嶋社長はこれまで、補償問題について「慰謝料などを支払い、売り主としての瑕疵(かし)担保責任を果たしたい」と表明。一方で「倒れるときは前向きに倒れる」(十一月二十九日、衆院国土交通委員会)と、倒産をほのめかすような発言もしています。

 住民らは今後、行政や他のマンション住民と話し合いの場所をつくって、破産申し立てを具体化していくとしています。

■偽装82件に/調査中608件

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は二十一日、新たに、東京都渋谷区の分譲マンション「ダイナコートエスタディオ桜丘」(九階建て、三十戸)、豊島区のホテル「プレッソイン池袋」(十四階建て)と横浜市の共同住宅二物件の計四件で構造計算書偽造が確認されたと発表しました。これで姉歯秀次元一級建築士による偽装は八十二件となりました。

 東京の二物件は設計を平成設計が担当し、木村建設が施工。横浜市の二件は耐震強度検査で、基準を満たしています。

 また、同省の山本繁太郎住宅局長は同日の衆院国土交通委員会の質疑で、強制捜査の対象となった姉歯元建築士、木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所が関与し、関係自治体が調査中の物件が六百八件に上ることを明らかにしました。


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