2005年12月16日(金)「しんぶん赤旗」

耐震強度偽装

総研“鉄筋減らせる”

指示・推奨2つのメモ

「杭を1本でも少なく」

浮かぶ“ぐるみ”の構図


 耐震強度偽装問題で、二十四件の偽装ホテルを開業指導していたコンサルタント会社・総合経営研究所(総研、東京・千代田区)の幹部が、設計会社に鉄筋の使用量や杭(くい)本数を減らすよう具体的な指示をしていた疑いが浮上しています。構造設計にくわしい一級建築士は、このやり方が耐震強度偽装に結びつく可能性もあると話しており、真相の解明が求められます。


 総研が鉄筋の使用量を減らすよう推奨・指示した疑いを示すのは、幹部の二つのメモです。ひとつは、総研の内河健所長が経営指導している「SG会」の会員企業に配った内河氏直筆のメモ。もうひとつは総研の四ケ所猛チーフコンサルタントが、あるホテル建設をめぐり、木村建設関連の平成設計担当者にあてた直筆とされるメモ。

■所長が具体例

 内河氏のメモは、建築コストについて「構造設計、設計屋さんの考え方で大変な差がある現実の話」と強調。鉄筋や型枠を大幅に減らすことでコストダウンが図れるとして、「Pホテル」「Sホテル」の二つの具体例を記載しています。

 内河氏は、鉄筋を減らした「Sホテル」の例を「Pホテル」に当てはめると、一平米当たり三十九キロの鉄筋を減らせると紹介。総床面積で計算すると約千八百万円になり、「(Pホテルの)請負金は六・九億円であったので、これだけで請負金の2・6%の原価が違う」と主張しています。

 メモには「構造上にムダがあるとみて手を打っていたらもっとコストを下げられたのに」と記載しています。

 一方、四ヶ所メモは、十四日の証人喚問で民主党の馬淵澄夫議員が明らかにしたもの。

■構造図で解説

 メモでは、四点にわたって指摘。鉄筋については「今の構造設計で、鉄筋の使用量が平米当たり119キロになっている。8FL(八階)であるもので多くても75―80キロで納めてほしい」と要求しています。

 参考資料のなかで、「4隅の主筋をタバネ配筋すれば4本は減らせる」と手書きの構造図も添付して解説しています。

 さらに「1・2FLの柱寸法、36―D32(直径三十二ミリの鉄筋三十六本)?、大きすぎる。以前、ヴィアイン新大阪で、20―D22〜22―D25で済ませている」としています。

 ヴィアイン新大阪は、JR西日本の子会社のビジネスホテル「ヴィアイン新大阪ウエスト」のことを指していると思われ、同ホテルも耐震強度の欺装が発覚しているホテルの一つです。

 メモでは地中杭についても「杭本数、一本でも少なければ喜ばしい事です」と記載。参考資料でも「上部荷重に対して、必要以上の杭設定がされている。経済設計で取り組むべき」と指摘しています。

 最後にメモでは「もう少し経済的に納めようとする気持ちで、設計してもらいたい」と注文しています。

 二つのメモで浮かびあがったのは「総研」を頂点とする「木村建設」「姉歯設計」という偽装の三角形の構図。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員は、証人喚問で内河氏に厳しく指摘しました。

 「構造設計にとことんまで注意を払うということがあなたの事業の核心部分だ。会社ぐるみで偽造を行なったと断じざるを得ない」


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