2005年12月13日(火)「しんぶん赤旗」

武力行使・威嚇の拒否

国際法の原則を順守

ASEAN憲章の骨格決定


 【クアラルンプール=豊田栄光】東南アジア諸国連合(ASEAN)の第十一回首脳会議が十二日当地で開催され、「紛争の平和的解決」などASEAN憲章の骨格を定めた首脳宣言を発表しました。

 同憲章の起草は、ASEAN加盟国の元首脳や有識者の賢人グループにゆだねられ、来年中の制定をめざします。

 ASEANは二〇二〇年までに、(1)安全保障(2)経済(3)社会・文化―での共同体づくりをめざしており、憲章はその最高規範(憲法的な存在)となるものです。

 首脳会議前日の記者会見で、議長国マレーシアのアブドラ首相は、憲章が「地域の平和と安定に寄与する」ものであることを強調。「簡潔で国民に分かりやすい文書にする」(サイドハミド・マレーシア外相)としています。

 首脳宣言で確認した憲章の骨格には、民主主義の促進、核兵器の拒否、武力行使・威嚇の拒否、国際法の原則順守、内政不干渉なども含まれています。

 首脳会議では、ミャンマーの民主化問題について議論。「民主化指導者アウン・サン・スーチーさんの自宅軟禁解除を含む、思い切った民主化を求める意見が大勢」(ASEAN外交筋)を占めました。

 ASEANとして、内政問題不干渉の原則を堅持しつつ、民主化の進展状況を調査する代表団を派遣することとし、ミャンマーもこれを了承しました。

 次回首脳会議は来年、主催国フィリピンのアロヨ大統領の希望により同国のセブ島で開催されます。


■解説

■アジアの平和促進へ

■力秘めたASEAN憲章

 今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の合言葉は、「一つのビジョン、一つのアイデンティティー、一つの共同体」です。

 ASEAN共同体づくりに欠かせないのがASEAN憲章です。

 議長国マレーシアのアブドラ首相は「憲章は、ASEANが成熟した地域組織に発展する上で、新たな画期となる」と、制定へ向けた起草作業に期待をこめました。

 インドネシアの外交官は「憲章制定でASEANの役割が明確となり、同じ目標に向け各国が歩むことができる。それは平和と安定、民主主義、繁栄の地域共同体だ」と語っています。

 一九六七年に五カ国で発足したASEANはいま、十カ国へと発展しました。かつて対立したベトナムなども加盟しています。

 そしてこれから日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドとともに東アジア共同体づくりに乗り出そうとしています。各国はASEANがその「運転席」につくことを認めています。

 アブドラ首相は、「ASEANは東アジアの平和と安定を促進することに挑戦する。ASEANはその大きな役割を期待されている」と語りました。ASEAN憲章を制定し、平和の精神と枠組みを東アジアへと拡大し、繁栄の地域を築きたいとの思いがうかがえます。

 実際、ASEANは憲章の骨格と同じ理念にたった東南アジア友好協力条約(TAC)への加入を域外国に求めてきました。十四日に初めて開かれる東アジア首脳会議参加国はすべてTAC加入国です。

 憲章もTAC同様、アジアの平和を促進する大きな力を秘めています。(クアラルンプール=豊田栄光)


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