2005年12月11日(日)「しんぶん赤旗」
テロ根絶へ一致し行動
イスラム諸国首脳会議が宣言
【カイロ=小泉大介】イスラム諸国会議機構(OIC、五十六カ国とパレスチナ解放機構が加盟)の特別首脳会議が七、八の両日、サウジアラビアのイスラム教聖地メッカで開催され、テロとのたたかいの決意を表明し、その道筋を具体化した「メッカ宣言」を採択しました。
OIC首脳会議の開催は、二〇〇三年十月にマレーシアで開催されて以来。この間、世界各地でイスラム教に名を借りた過激派による大規模なテロが相次いだことをうけ、テロ根絶のためにイスラム諸国が一致して行動し、同教の本来の姿を回復することが会議の最重要議題となりました。
首脳会議閉会会合で読み上げられたメッカ宣言は、イスラム教について「穏健、寛容で多様性を持つ宗教であり、過激主義と孤立を拒絶する」と強調しました。その一方で、「イスラム諸国は危機にあり、それは現在だけでなく未来にも及ぼうとしている」として、「われわれは(イスラム教から)逸脱した考えと断固としてたたかう必要がある。なぜならそれはテロの正当化に使われているからである。われわれはあらゆる手段でテロとたたかう決意である」と表明しました。
テロとのたたかいの方法に関し宣言は、緊密な国際的協力とともに、OIC加盟各国の努力として、学校教育の改善、テロ組織の資金活動やテロの扇動を取り締まるための国内法の整備、さらに宗教令(ファトワ)の発令を正式な宗教権威者のみの権限にすることなどを挙げました。
またOICのイフサンオウル事務局長は、テロの根本原因として貧困、腐敗、平等の欠如などを指摘し、「これらの問題解決に適切に取り組まなければ、それが過激主義者の行動の口実に使われることになる」と警告。首脳会議はメッカ宣言とは別にイスラム世界における貧困などの課題を解決するための十カ年行動計画も採択しました。