2005年12月5日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

気持ちいいこと 地球にいいこと

私のエコライフ宣言


 すすむ地球の環境破壊――。「地球にやさしく、自分も楽しく」と、環境にやさしい消費生活を送る若い人が増えています。“エコライフ宣言”をした人たちを紹介します。


■買い物に選択基準できた

■三ケ尻亮子さん

 「環境への危機感は若い人共通ではないでしょうか」と話すのは三ケ尻亮子さん(36)=北九州市小倉南区=です。

 「ただ危機感はもっていてもやり方がわからない、今の生活スタイルを変えるのがおっくうな人は多い。でも環境破壊が進んでいるのを知っている以上、目をそむけずに私は“実践派”でいきたい」

 三ケ尻さんは、三年前から「なるべく自然に近いものを」と、合成洗剤は使わず、食器洗いも洗濯もせっけん。洗顔やシャンプーなど、直接肌に触れるものもすべてせっけんを使っています。

 「市販の化粧水を使っていたときは、『何か添加物が入っていたほうが効果があるのではないか』と思っていました。しかしせっけんだけの生活で不便を感じたことはありません」

 これまで、どの洗剤を買うか、迷うことがたびたびでしたが「選択の基準ができて、迷わなくなりました」と三ケ尻さん。洗顔の後の化粧水も手作りです。グリセリンとエタノールを混ぜて、けっこう簡単です。

 「今は、生ゴミのリサイクルをやっています。もっとうまくできるように工夫しているところです」

 個人では限りがありますが、せめて出すゴミは少なく、ひと月に出すゴミは三十リットル一袋分に抑えています。

 「自分がやりたいと思うからやっています。日常生活を見直す中で“おもしろい”と思った工夫や発見を人に押しつけようとは思いません。でも私が楽しみながらやっているのを見て、エコライフをはじめる人がいたらうれしいです」


■“海の水汚さない”が原点

■山口ひろみさん

 「エコライフを送り続けること自体が気持ちいいこと」というのは、環境保護団体「アイサーチ・ジャパン」で活動する山口ひろみさん(32)=東京都小金井市=です。

 山口さんが使うせっけんと化粧品は、自身の手づくりです。エコライフを始めた三年ほどは、無香料の純せっけんを使っていました。ある時、購入したせっけんの香りをかぎ「気分が華やぎ、心が豊かになりました」。それからは、香りが重要な要素になりました。

 せっけんづくりをはじめて五年。香りの大切さに目覚めたいまは、材料にどの油、どの香料を使うか楽しみ、悩みます。せっけんが熟成していく過程が「待ち遠しくて、すごく楽しい」といいます。

 化粧品を自分でつくるようになって、自分の肌や体調の変化に敏感になったといいます。

 「単に美白とか美肌とか表面的なことだけではなく、内面の体調を考えながら自分にあった化粧品をつくっています」

 山口さんが所属する「アイサーチ・ジャパン」は、イルカやクジラを入り口にして生態系や環境に広く関心をもってもらおうと活動する団体です。環境に配慮した生活をしたいと思ったのは、「私たちが使った水がイルカやクジラが生息する海に流れる」ことを実感したから。まず水を汚さないようにすることが大事だと考えました。

 今の山口さんにとって、何がエコライフなのか―。「どれがエコなのかと考えるほど、自分の中では自然なもの。エコライフは自分が満たされるもの、楽しくないと続きません。自分にとって何が心地いいものなのかの尺度で考えて、選べばいいのでは」と、アドバイスします。


■洗濯・食器洗いせっけん使って

■須藤繭子さんが助言

 ――食器を洗うときは、汚れをふき取って。

 ――ちょっと着ただけのものは汚れたものと分けて洗濯。洗濯機の「洗剤なしモード」など機能を使い洗剤も水も少なく。

 ――浴室を使ったら、体をふいたタオルで壁の水分をふき取り、カビの発生を防ぐ。

 こんなアドバイスをしてくれたのは須藤繭子さん(37)=千葉県船橋市=。家中の家事はすべてせっけんです。「ちょっとした工夫、コツをつかめば、手間もかからないし、合成洗剤より安全に経済的な生活が送られます」

 洗濯、食器洗い、体洗いなどに一カ月で使う洗剤の代金は五百円ほど。洗剤の量も以前の五分の一ほどに。

 たとえば皿洗い。子どもの古着や、毛糸を束ねたものに結び目をつくった特製の“スポンジ”を使って、水をためたたらいの中で丹念に汚れを落とします。そして泡立てポンプ(市販のハンド・ソープ容器を再利用)を使って液体せっけんを泡立て、食器をサッと洗います。この間、使った水の量はほんのわずかです。


■「環境に関心」 20〜30代に広がる

 エコロジー(環境保護)を考え、環境にやさしい消費生活を送る人が多くなっていることは、内閣府国民生活局企画課が行った「環境問題に対する意識調査」(二〇〇四年度、回答者数千九百九十三人)の結果からもうかがえます。

 同調査によると商品を購入する際にごみ、資源、エネルギーなど環境のことを「いつも考えている」「だいたい考えている」と答えた回答者は77・3%でした。

 ごみ問題と消費生活との関係に対する関心は94・6%が「非常に関心ある」「ある程度関心ある」と答えています。

 東京都内の二カ所に店舗を構えるエコロジーショップ「GAIA」。自然食品や自然化粧品、無添加せっけんなどを販売しています。清水仁司さん(代表取締役)は、若い人のなかで環境にやさしい生活を送る人が増えていると指摘し、こう分析します。

 「雑誌の影響か、おしゃれにエコ生活を送るというイメージだけが先行している部分もあります。ただ、いまの若い人はそういう生活を通して、自分と人にやさしい生き方、等身大の生き方を模索しているのではないでしょうか」

 エコロジーをテーマに毎月十万部が発行されている雑誌『ソトコト』は、発行部数が増えているといいます。同編集部は、「読者は二十―三十歳代が中心」と説明しています。


■お悩みHunter

■親は自立すすめるが給料安く勇気出ない

Q親が「家を出なさい」とうるさくて…。「自立しなさい」ともいいます。職場までは電車で二時間、夜は遅くなることがしばしば。食事、洗濯もやってもらうことが多くなります。就職してまだ二年目で給料も十一万円ほど。もう少ししてからと思ってるんですが、ちょっと悩んでます。家を出るのはやはり勇気がいります。(会社員、女性。千葉市)

■思いきって一人暮らしを

A思いきって家を出て、一人で生活してはどうでしょう。生活は厳しいかもしれませんが、“貧乏暮らし”でもいいと思います。

 親も家を出ることをすすめているのですから、困ったときは米や野菜などの物品をもらうなどして、援助してもらったらどうでしょう。一人で苦労をした方がよいと思います。

 あなたのような年代は今が一番、世界が広がる時期です。会社までの往復で四時間ほどかかりますね。その時間を、あなたの世界を広げるために使ったらどうでしょう。

 最近は、一人生活を怖がる若いひとが多いようです。いざ、家を出ようと思うと心細かったり、不安になります。

 一人で生活をするというのは、食事も洗濯も一人でしなければなりません。忙しくて洗濯ができないと悩んだりすることもあるでしょう。そんなふうに、がまんしたり悩んだり、工夫したりすることが、これからの人生にとって大切です。

 親は「家を出なさい」といいながら、あなたが遅く帰るときには食事をつくっていたり、洗濯をしてあげているようですね。親も口でいうだけではなく、行動を一致させた方がよいと思います。

 一人暮らしは多分、思うようにいかないでしょう。部屋が少々、汚くなってもいいじゃないですか。今のあなたには、思いきって、一人で暮らすことが大切なのだと思います。


■精神科医 上村 順子さん

 山口大学医学部卒。代々木病院、松沢病院などで勤務。99年からめだかメンタルクリニック院長。


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