2005年11月30日(水)「しんぶん赤旗」

国連憲章順守しテロ根絶

EU・地中海諸国が首脳会議


 【ロンドン=岡崎衆史】二十七日からスペインのバルセロナで開かれていた欧州連合(EU)二十五カ国と地中海沿岸十カ国の首脳会議は二十八日、国連憲章や国際法を順守して、あらゆるテロを根絶すると誓う行動規範などを採択して閉幕しました。

 採択された行動規範は、「あらゆる形式や現れのテロを完全に非難し、それを根絶し、(テロの)支援者とたたかう決意」を確認。テロ組織の解体やテロ計画の阻止を国際的な協力の強化によって続けなければならないと強調しました。

 その上で行動規範はテロへの対処法について、「(テロの規模と)均衡がとれ、人権や基本的自由の尊重を保証する国際法と国内法の枠組みにしっかりと根ざしているべきだ」と表明。とりわけ尊重すべきものとして、国連憲章、国際法、国際人権法を挙げました。

 会議はまた、地中海地域の平和、安定、繁栄を対話や交流、協力を通じて創出することを改めて確認する議長声明を発表し、その実施のための重点を定めた五カ年作業計画を採択。重視する事項として、市民の政治参加や男女同権、表現の自由の促進、教育水準の向上などとともに、経済発展や雇用創出のために二〇一〇年までに自由貿易圏を設立することでEUと地中海沿岸諸国が協力することを挙げました。

 ただし、中東和平やテロの定義をめぐってイスラエルとアラブ諸国などが対立し、共同宣言は採択できませんでした。

 EUと地中海沿岸諸国は一九九五年、バルセロナで閣僚会議を開き、対話と協力を通じて地中海地域の繁栄を目指すバルセロナ宣言を採択。この枠組みを通じてEUは地中海沿岸諸国の政治・経済・社会改革を支援してきました。今回の首脳会議は閣僚会議十周年を記念して開かれました。

 会議にはEU二十五カ国の首脳がほぼ全員出席。地中海諸国からは、アルジェリア、エジプト、イスラエル、ヨルダン、レバノン、モロッコ、パレスチナ自治政府、シリア、チュニジア、トルコの代表が参加しましたが、首脳の出席はトルコとパレスチナ自治政府のみでした。


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