2005年11月26日(土)「しんぶん赤旗」

政府税調が増税答申

定率減税全廃で3.3兆円

大企業減税 一部を廃止


 政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は二十五日、二〇〇六年度税制「改正」答申を小泉首相に提出しました。答申は〇七年度からの所得税・住民税の定率減税全廃による三・三兆円の増税を盛り込みました。日本共産党の小池晃政策委員長は同日、談話を発表し、庶民の所得が減り続けているなかでの増税計画をきびしく批判しました。


 定率減税全廃によって年収五百万円の四人家族(妻は専業主婦、子ども二人)では、年約三万五千円の増税になります。

 政府税調の答申は、主に大企業の法人税を軽減している研究開発減税の上乗せ部分とIT(情報技術)投資促進減税の両減税措置の打ち切りを提言。一方、企業減税について「競争力向上等の構造改革や経済社会の活性化を進めるために真に有効な措置に集中・重点化していかなければならない」とも主張し、新たな大企業減税の導入にも含みも持たせています。

 答申はこのほか、個人住民税について、均等割の税率引き上げや公的年金などからの天引きを提言しました。また、道路特定財源などの特定財源について「一般財源として活用」を明記。高額納税者などを公示する所得税の長者番付の廃止を提言しました。

 石会長は答申提出後の記者会見で、来年六月以降にまとめる中期答申について「当然、消費税も含んだ意味での税制『改革』の提言を出しうる」と発言。消費税増税が来年一月後半からの議論のテーマになるとの見解を示しました。

 来年度税制「改正」をめぐる今後の議論は、自民党税制調査会に移り、十二月中旬に与党税制「改正」大綱が決定されます。その後、来年一月に政府が〇六年度税制「改正」の要綱を決定。通常国会で各税制「改正」法案が審議されることになります。

■政府税調答申の骨子

一、所得税から個人住民税への税源移譲では納税者の負担変動を極力抑制。住民税は税率一本化、所得税はより累進的に

一、定率減税は経済状況を見極め全廃

一、酒税分類を簡素化、税負担格差を縮小

一、研究開発減税上乗せ分、IT(情報技術)投資減税、登録免許税と不動産取得税の軽減措置は延長不要

一、道路など特定財源は一般財源化、税負担は維持

一、所得税などの公示制度は全廃

一、相続税の物納対象財産を拡大

一、所得税などの無申告加算税引き上げ

一、公的年金からの住民税天引きを早期実施

図

 ▼定率減税 所得税額の20%(上限二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)をそれぞれ減額する措置。景気対策として一九九九年に導入されました。年間の減税規模は、所得税二・五兆円、個人住民税○・八兆円で計三・三兆円。小泉政権は二○○五年度税制「改正」で「経済状況の改善」を理由に減税幅を半分にすることを決めました。半減の時期は、所得税は○六年一月、個人住民税は同年六月徴収分から。政府は○六年度税制「改正」で残り半分もそれぞれ一年後に廃止する方針です。


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