2005年11月23日(水)「しんぶん赤旗」

主張

自民党大会

「戦争憲法」案掲げる大矛盾


 自民党は、結党五十年の節目の大会で、新理念・新綱領を決め、「新憲法草案」を正式発表、「立党五十年宣言」を出しました。

 自民党新綱領の大きな特徴は、冒頭に「新しい憲法の制定を」を掲げたことです。結党時の「政綱」(一九五五年)から「現行憲法の自主的改正」を主張してきた自民党ですが、具体的な条文案まで作って改憲に乗り出すのは初めてです。

 自民党は、新憲法制定を綱領の冒頭に置き、「わが党の決意を強く打ち出し」た、と述べています。改憲の執念を軽視できませんが、平和を望む国民との矛盾が拡大しています。

■生命と安全脅かす

 自民党の綱領は、抽象的な政治スローガンを並べたもので、日本の政治、経済、社会の分析はありません。国民が直面する問題をどう解決していくかという視点で作られたものではないことを示しています。こういう綱領で間に合うのは、日本共産党第二十四回党大会決議案が指摘するように、「異常な対米従属と大企業中心政治という、古い政治の枠組みのなかに安住し、それを変える展望をもたない政党」だからです。「理念」で「国民政党である」と強調していますが、国民の利益を守る立場で政治をしているのではありません。

 自民党の「新憲法草案」は、国民の利益に反する党であることをはっきり示しています。とりわけ、「平和憲法」を「戦争憲法」に変えようとしていることは重大です。

 前文を全面的に書き換え、現憲法前文の「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…」という文言をなくす。かわりに、国民に「国を守る責務」を課す。九条二項―「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を完全削除。「自衛軍を保持する」と明記し、海外派兵もできる規定にする。「軍事裁判所」を設置して、軍法会議を開けるようにする。

 自民党「新憲法草案」は、憲法の平和原則を投げ捨てるものです。アメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために、自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし、日本を「戦争をする国」につくりかえることを狙っています。これほど、国民の生命と安全を脅かすものはありません。

 憲法九条こそ、日本の平和主義の証であり、国際的信用の基礎です。小泉首相は、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議後の記者会見(韓国・釜山)で、靖国神社参拝を問われ、平和を願う立場だと強調するために、次のようにのべました。

 「戦争の反省をして、この六十年間、日本はどの国とも戦争をしていない」「海外に行った自衛隊の諸君も一発のピストルも撃っていない。一人の人間も殺していない」

 すべて、九条があればこその話です。九条改悪をめざす自民党「新憲法草案」は、小泉首相自身の言明からしても、論理的に矛盾しています。

■おごる自民に厳しい目

 「戦争憲法案」を掲げる自民党は、国内外で、矛盾を深めています。小泉外交は、靖国問題でアメリカからも懸念されるほど孤立を深め、「八方ふさがり」。自衛隊と米軍の融合、米軍基地強化にたいし、自治体・住民ぐるみの反対運動。九条を守る運動も、かつてなく大きくなっています。

 戦争につながる危険を多くの人が感じ、おごる自民党に厳しい目を向けています。自民党の五十年は過去のものです。未来につながり、展望を開くものではありません。


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