2005年11月19日(土)「しんぶん赤旗」

規制緩和で検査民間任せ

耐震強度偽造 背景に法改悪

自・公・民など推進 共産党は危険性指摘


 千葉県市川市の「姉歯建築設計事務所」(姉歯秀次一級建築士)が、マンションなど二十一棟の耐震性を示す「構造計算書」を偽造していた問題で、同設計事務所は、「計算書」の提出を受け建築確認をおこなう民間機関の検査体制がずさんなことを見越し、書類を偽造していたことが明らかになりました。この背景には、一九九八年の建築基準法改悪で、これまで自治体が行ってきた建築確認・完了検査を、国などの指定を受けた民間機関も実施できるようにした「規制緩和」があり、安全軽視の国の姿勢が問われます。


 建築主が法で定める建築物の建築を行う場合、工事着手前に構造や設備の計画が建築基準法などの法令に適しているか、構造計算書などを提出して審査を受ける建築確認が必要です。ところが政府は「規制緩和推進三カ年計画」(九八年三月閣議決定)などにもとづく九八年の建築基準法改悪によって、これまで自治体の建築主事が行っていた建築確認・検査を民間に「開放」。大臣、知事が指定する民間の「確認検査機関」も行えるようにしました。

 同設計事務所は、耐震強度が基準に達したときに「計算書」に印字される「評定番号」を、当該の民間検査機関がチェックしないことを見越して基準値以下の数値を入力して計算書を偽造していました。

 建築基準法の改悪について日本共産党は、緒方靖夫参院議員、中島武敏、辻第一両衆院議員(ともに当時)が繰り返し国会で追及。(1)民間検査機関はゼネコンや大手住宅メーカーの集合体でも可能で、公正・中立性が確保できない(2)民間検査機関が営利本位になって検査が手抜きされたり、ミニ開発などへの自治体の規制が骨抜きになる―など懸念される問題を指摘してきました。

 そのうえで「現行の建築主事による確認・検査体制は不十分で拡充が必要だが、法案は行政の建築主事の体制を強化せず、そのチェックもないまま検査を民間にまかせるもので、検査の公正さが確保できない」として反対しました。

 一方当時の自民、民主、公明、社民、自由、新党さきがけなど日本共産党以外の各党・会派は同法案に賛成しました。


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