2005年11月18日(金)「しんぶん赤旗」

英軍も残虐兵器

国防相 イラクでの使用認める


 【ロンドン=岡崎衆史】イラクに約八千五百人の兵士を駐留させている英国で、政府首脳や軍高官から撤退の可能性についての発言が相次いでいます。

 英紙ガーディアン十六日付は、複数の英軍司令官と国防省高官が十五日明らかにしたとして、来年五月にかなりの数の部隊の撤退がありうると報じました。同紙によると、英政府はすでに、イラク側と撤退日程について話し合いを開始。十二月のイラク国民議会選挙後、新政府との間で本格的な協議を行うといいます。

 ブレア英首相は十四日、イラクのアブデルマハディ副大統領と会談後、「来年の軍撤退について協議するのは全く道理あることだ」と述べ、イラク軍が治安を担うことができるようになれば英軍撤退がありうるとの見方を示しました。アブデルマハディ副大統領も、治安の改善によっては、「来年ある程度の部分撤退を目にするだろう」と述べました。

 これに先立ち、イラクのタラバニ大統領は十三日、英民間テレビITVとのインタビューで、「英軍の永久駐留を望んではいない。二〇〇六年末までにイラク軍は英軍を引き継ぐだろう」と発言。リード英国防相も同日のBBC放送で「(イラク軍への治安の引き継ぎと英軍撤退の)プロセスの来年開始が可能だ」と語りました。英軍のジャクソン参謀総長も同日、BBCで、タラバニ発言について「現実に起こりうる範囲にある」と語りました。

 一方、英軍の早期撤退を求める野党自由民主党のケネディ党首は十四日、「適切で理性的な日程での軍の撤退計画について議会で話し合うべきだ」と主張しました。


 ▼白リン弾 発火点が三十四度の可燃性猛毒物質白リン(別名、黄リン)を使用する残虐兵器。人間の体に白リンが付着すると皮膚や肉が燃え、気体を吸い込んでも致命傷になります。

 特定通常兵器使用禁止制限条約(一九八〇年採択)の第三議定書では、物質の化学反応によって生じる火炎、熱などで人に火傷を負わせることを目的とした武器、弾薬について、民間人への使用や人口密集地の軍事目標への空からの攻撃を禁止しています。

 米国は条約本体は批准していますが、第三議定書は拒否。英国は第三議定書を含めて批准しています。


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