2005年11月16日(水)「しんぶん赤旗」

空港止めた 空母の障害電波疑惑

米軍、調査回答なし

“軍事機密を優先”の指摘


 羽田空港のA滑走路が米軍横須賀基地からの電波発信とみられる障害で一時使用できなくなった問題で、日本政府から原因調査を求められた米軍が一カ月近くたっても回答していないことがわかりました。国土交通省と総務省が十五日までに日本共産党の穀田恵二衆院議員に明らかにしたもの。航空関係者は「重大な事故につながりかねない問題だが、軍事機密でうやむやにしたいのが米軍の本音ではないか」と指摘しています。


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(写真)ペルシャ湾から帰港した空母キティーホーク=米海軍横須賀基地

 電波障害は十月十日と十七日に発生。羽田A滑走路の端に設置されているILS(計器着陸装置)が影響を受けました。天候が悪かった十七日は到着便七十便に最大一時間半の遅れが出るなど、安全上の大きな問題になりました。

 このため、総務省は障害電波の発信方向を見定めた上で、米海軍横須賀基地に調査を依頼しました。

 穀田議員は十月二十六日の衆院国土交通委員会で、空母キティホークのTACAN(戦術航法装置)の周波数帯が羽田のILSの周波数帯と重なった可能性が高い、というパイロットや管制官の話を紹介。北側一雄国土交通相に「米軍に原因究明とともに電波障害を起こさないよう申し入れを」と求めました。

 北側国交相は「委員の質問の趣旨を踏まえて米軍に伝え、早急に回答を求めたい」と答えていました。

 しかし、国交省航空局は十五日、穀田議員や本紙にたいし「米軍に再三回答を求めているが、中途半端なものを出して誤解を与えてはいけないので、正確な原因がわかれば報告をします、ということだった」と明らかにしました。総務省は「誤操作か何かしたのだろうが、正式な回答はきていない」と答えました。

 電波技術に詳しいパイロットは「ICAO(国際民間航空機関)が定める空港の周波数帯は約四十種類しかなく、米艦船が空港近くで同じ周波数帯の電波を使わないようにすれば済むことだ。しかし、周波数帯が軍事機密なので公表しないし、使わないとはいえないので、無関係を装うか、回答しないのではないか」と語っています。


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