2005年11月14日(月)「しんぶん赤旗」

中国で小林多喜二シンポ

反戦の精神に現代的意義


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(写真)河北大学で開かれた小林多喜二国際シンポジウム=12日、河北省保定市(菊池敏也撮影)

 【保定(中国河北省)=菊池敏也】戦前のプロレタリア文学作家、小林多喜二の文学の現代的意義を探求する国際シンポジウムが十二、十三の両日、中国河北省保定市の河北大学で開かれ、日本、中国、韓国の研究者ら約八十人が出席しました。同大学で日本語を学ぶ百人あまりの学生も傍聴しました。

 二〇〇三年十一月、東京で小林多喜二生誕百年・没後七十周年記念シンポジウムが開催されてから、国際シンポジウムは三回目となります。河北大学外国語学院が主催し、初の海外開催となる今回のテーマは、「小林多喜二文学の現代的意義―反戦・平和・国際主義」です。

 開会式で孫景元・河北大学副学長は「多喜二が唱えた反戦・平和・国際主義の精神は、反ファシズム世界戦争の勝利六十周年にあたり、いっそう現実的な意義をもっている」と歓迎のあいさつをしました。

 シンポジウムでは、日本、中国、韓国の研究者が基調講演。女子美術大学の島村輝教授が「『満州事変』後の世相と多喜二晩年の仕事」、中国の王成・首都師範大学助教授が「反戦小説としての『沼尻村』」、韓国の朴眞秀・璟園大学教授が「小林多喜二『一九二八年三月十五日』の視点と語り」をテーマに講演しました。

 この後、全体会議および分科会のなかで、各国の研究者がさまざまな角度から研究報告し、意見交換が進められました。

 十二日夜には、ドキュメンタリー映画「時代(とき)を撃て・多喜二」が中国語の字幕付きで初上映されました。

 シンポジウムのまとめで島村教授は、「多喜二の『反戦・平和・国際主義』の問題は、『満州事変』以後、多喜二晩年だけの問題ではない。多喜二文学の原点にかかわり、生涯を通じて貫かれ発展したものであることがシンポジウムを通じて明らかになってきた」と述べました。

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(写真)小林多喜二国際シンポジウムが開かれた河北大学=12日、河北省保 定市(菊池敏也撮影)

 閉会式では、シンポジウム運営委員長を務めた張如意・河北大教授が「中国小林多喜二研究会」を結成する構想を明らかにし、中国国内の研究者に積極的参加を呼びかけました。

 シンポジウムは、白樺文学館多喜二ライブラリー、日本社会文学会、河北大学国際交流センター、同大科学技術所が共催し、小樽商科大学、日中友好協会、中国日本語教育研究会、外国語教育・研究出版社が後援しました。


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