2005年11月7日(月)「しんぶん赤旗」

英前駐米大使が米英軍批判

「イラク治安悪化の要因」


 【ロンドン=岡崎衆史】英国のクリストファー・マイヤー前駐米大使は英紙ガーディアン五日付で、イラクでの治安悪化の要因に外国軍の駐留があるとし、このままではイラクの再建は不可能であることを認めました。

 マイヤー氏は、イラクで死亡した米英両国の兵士の死が無駄になるとして米英軍の早期撤退を否定しながらも、「米英軍の駐留がある程度武装勢力の活動を誘発していることは間違いない」と断言。こうした状況のもとで「米国と私たち(英国)はまったく解決不能なジレンマに陥っている」と指摘。米英軍の駐留がイラクの再建を妨げているとの見方を示しました。

 同氏は、一九九七年からイラク戦争開始直前の二〇〇三年二月まで駐米大使を務め、ブッシュ大統領をはじめ米政権中枢と良好な関係をもったことで有名。この発言は、イラク戦争支持者で米英両政府の中枢を知る人物がイラク占領政策の破たんを認めたものとして注目されます。マイヤー氏はまた、七月七日にロンドンで起きた同時テロなど英国内でのテロについて、「イラクで起きている事態が英国内でのテロを急進化、激化させていることを示す多くの証拠が今存在する」と述べ、イラクの状況とテロとは無関係とするブレア首相の主張を否定しました。

 一方、イラク戦争の性格についてマイヤー氏は、米国は、「悪い政府を良い政府に置き換える」ことを目指したとして、「政治的な戦争だった」と発言。米国が戦争の口実にした「大量破壊兵器」の存在などは最初から問題ではなかったことを明らかにしました。

 インタビューは、マイヤー氏の回顧録が近く出版されることに先立って行われました。


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