2005年11月5日(土)「しんぶん赤旗」

主張

2+2と同盟再編

「防衛」と無縁の戦争態勢へ


 日米安全保障協議委員会(2プラス2 外交軍事担当閣僚協議機関)が発表した「日米同盟 未来のための変革と再編」と題する中間報告は、日本の平和と安全にとってきわめて重大な内容をもっています。

 政府は安保条約を、「純粋に防衛的な安全保障の条約」(外務省「新しい日米間の相互協力・安全保障条約」)と説明してきました。しかし、もはや、“日本防衛”の建前では説明がつきません。日米一体で世界に軍事介入する地球的規模の軍事同盟に拡大、再編しようとしています。

■国際紛争への介入

 中間報告は、「地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応させる」といっています。日米安保関係を、テロとの対抗や大量破壊兵器の拡散防止を理由にした米先制攻撃戦争を実施できる軍事同盟に変えることを方向づけたものです。

 同盟再編の狙いは、「日本防衛」と無縁の国際紛争介入態勢づくりです。中間報告は、「重点分野」として、「日本の防衛及び周辺事態への対応(新たな脅威や多様な事態への対応を含む)」と「国際平和協力活動への参加」の二点を明記しました。

 「国際平和協力活動への参加」は、国連平和維持活動だけでなく、イラク戦争をはじめ、こんごアメリカがひきおこす先制攻撃戦争に焦点をあてたもので、アメリカが仕掛ける戦争に日本が介入していくことを鮮明にしています。

 「周辺事態の対応」に、「新たな脅威や多様な事態への対応を含む」としているのは重大です。日米ガイドラインにもとづいて制定された「周辺事態法」の「周辺事態」とは、「そのまま放置すればわが国にたいする直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と規定されています。日本が直接攻撃されていなくとも、米軍の作戦をより広範囲に支援する仕組みにしました。それでも、建前は、武力攻撃から日本を防衛するということです。「周辺事態法」は、テロなどの「新たな脅威」を想定しておらず、対テロ戦争を実施する米軍への支援はできません。米政府の狙いは、武力侵略がなくても、また、イラク特措法などの特別立法をつくらずとも、テロとのたたかいをすすめる米軍にたいして、自衛隊が軍事支援できるようにすることにあります。

 中間報告は、「日本防衛」の建前を事実上取り払い、日米同盟を、米先制攻撃戦略を推進する軍事同盟に大きく変質させるものです。

 日米一体となって、海外で戦争するために、後方支援の強化、米軍が重視する高速輸送艦の保有、司令部機能の一体化も明記しました。

 米軍基地の再編は、「日本防衛」と無縁であることがはっきりしました。中間報告は、先制攻撃戦争のさい、いつでもどこにでも短時間で米軍が出動する世界紛争介入の拠点にする方針を鮮明にしています。

 沖縄、座間市、相模原市、岩国市をはじめ再編の影響をうける全国の首長はこぞって反対しています。

 小泉内閣は、来年三月までに、「地元との調整を完了する」と確約したなどといって、関係自治体・住民にたいして強権的なやり方で再編方針を押し付けてはなりません。

■平和の流れの加速を

 世界、とりわけアジアでは、困難をかかえつつも、反戦・平和の流れを加速させる努力を強めています。日本の安全保障をいうなら、この変化に目を向けるべきです。

 憲法九条を守り広げ、アジア諸国とともに平和の流れを大きくし、加速させていきましょう。


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